質問サイトを見ていたら、医療保険に関して面白い記述を見つけました。これをよむと、生命保険会社の営業がどんなセールストークをするのかがよくわかります。こうやって論理のすり替えというか、印象操作をするんですね。
具体的には、次のようなやり取りがされていました。ちなみに、全部引用すると長くてわかり難いので、ポイントをになる部分だけを書き直しています。
医療保険に入る意味が分かりません。貯蓄でまかなってはいけないのでしょうか?
回答:
高額な治療費が払えるだけの貯蓄が現時点であるのなら、医療保険に入る必要は無いでしょう。でも、次のようなケースを想定してみても十分な貯蓄があるといえるでしょうか。
例えば、入院日額1万円として、通産入院日数が1,000日の医療保険に入っていたとします。手術給付金も含めると、最大千数百万円の給付になります。
あなたは、これだけの準備ができるのですか?コツコツ貯めたとしても、これだけのお金を貯めるのは相当先の話になるでしょう。
その間に病気にならないという保証でもあるのですか?
こう考えると、医療保険に入る必要性はおのずとわかりますよね。
これを読んで、もっともな答えだと思った人もいらっしゃるのではないでしょうか。確かに、一番保険金が払われるケースを考えると、それだけのお金を預貯金で準備するのは難しいですよね。
でも、この回答には、若干無理があります。論理のすり替えをしている部分があるのです。気づいている方は、既にお気づきだと思いますけど。
保険金額の上限が必要な医療費ではない
この回答者の方は、保険金額が最大のところを取って、準備するために必要な額にしています。でも、これは間違いです。
保険金額と医療費として必要な額には、直接的な関係はありません。医療費として必要な額を見積もるのなら、保険金額ではなく医療費としての最大値を計算すべきでしょう。
健康保険が使える医療に限定すれば、1年中入院しても、医療費はせいぜい60万円くらいでしょう。入院費や手術台も含めての費用です。
何でこんなに安いかというと、高額療養費という制度があるからです。所得が大きい人だと、もう少し医療費は大きくなるんですけどね。
つまり、千数百万円という額は、何の意味もない数字なのです。
入院中の働けない期間の所得補償として医療保険に主張する人もいるかもしれません。でも所得補償としても、実はそこまでの額は必要ないのです。サラリーマンならという前提はつきますけどね。
なぜかというと、サラリーマンだと、給与の3分の2のお金が健康保険からもらえます。傷病手当金といいます。
こう考えると、丸1年入院するような超長期の入院を想定しても、必要になるのはせいぜい100万円くらいです。傷病手当金では足りない部分を違うもので補うとして多少余裕を見たとしても、1,000万円が如何に大げさな数字かわかるでしょう。
そもそも、平均的な入院日数は65歳までなら30日くらいだったはずです。通算して1,000日も入退院を繰り返すなんてケースが実際にあるのかどうかすら疑問です。
更に言うと、医療保険の場合、1回の入院の上限日数が決まっています。それを越える部分は、医療保険の支給対象にはなりません。ですから、仮に3年間病院で寝たきりだったとしても、1,000日分の保険金は出ないのです。
とまあ、冷静に分析すると、かなりむちゃくちゃなことを言っているわけです。
いかにも保険の営業のセールストークって感じがする
実際にこういった回答を書いた人が、どんな立場の人なのでしょうか。ちょっと興味があったので、プロフィールの所を見てみました。
そこを見る限り、今回の質問の他にも、保険の質問に数多く答えているようです。何かしらの形で保険に携わっている人なのでしょうね。
今回のような回答の仕方を見ると、保険のセールスをしている人ではないかという気がしませんか。いかにも生保のセールスマンの営業トークという感じがするんですよね。まあ、あくまで予想なんですけどね。
実際にどうかはわかりませんが、保険の営業がこんな感じのセールストークをする可能性は十分にありそうです。論理のすり替えに惑わされないように、冷静に判断したいものですね。
「千数百万円も預貯金は準備できるのですか?」なんて言われたら、確かにビビりそうですからね。
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