生命保険に関するコラムやウェブサイト、書籍などを見ていると、次のような主張をする人がいます。
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よく、「この保険は悪い保険だ」とか「この保険は不利な保険だ」と言って保険の解約をさせたがる人がいます。あるいは、「この保険がおすすめです」と言って、一つの保険だけが良い保険であるかのような言い方をする人もいます。でもこういった考えは間違っています。
世の中に悪い保険など存在しないのです。その一方で、万人向けの保険というのも存在しません。保険に優劣は存在しません。
それぞれの状況に合わせて、自分に適切な保険を選ぶのが肝心です。同じ保険でも、利用する人によって良い保険にもなれば悪い保険にもなります。
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なんだかとっても説得力のあるメッセージですよね。
この文章は「悪い保険は存在しない派」の意見を集約して、私が書いたものです。ただ、自分で読んでもうっかり説得されそうです。本当に悪い保険が存在しないと思う人がいても、仕方がないことでしょう。
我ながら、なかなか説得力があるメッセージだと思います。
でも、このメッセージには大きな嘘が混じっています。このページでは、上のようなメッセージのどの部分が問題なのか見てみようと思います。
悪い保険は存在する
この文章の中の嘘はどこなのでしょうか?具体手には次の2ヶ所です。
・ 保険に優劣は存在しません
この2つは大体同じ事を言っていると解釈して良いでしょうか。2つ目の他より劣った保険というのがあるとすれば、確実に悪い保険でしょうからね。
「悪い保険」というのは、「契約者に不利な保険」とか「使い勝手が悪い保険」という意味だとしましょう。そういう意味なら、悪い保険は確実に存在します。
まず、ほとんど同じ保障内容なのに、他社に比べて保険料が大幅に高い生命保険を探すのは簡単です。これなんて、明らかに不利な保険ですよね。
経営状態が悪い保険会社の扱う保険も、やっぱり悪い保険です。保険の場合は銀行預金のように、100%保証されるわけではありません。仮に倒産したら、契約者が何らかの損失をこうむる可能性も大きいですから。契約者にとって不利なのです。
また、無駄な保障が山のように付いているという意味で契約者に不利な保険も存在します。当然ですが、保障が多ければ、保険料は割高です。結局、保険会社に手数料をたくさん払っているに過ぎません。そもそも、保険を使って対処する必要が無いものまで、保障の中に含まれていたりするんですよね。
使い勝手が悪いという意味で悪い保険も存在します。このサイトの中でも指摘しましたが、定期付終身保険に医療保障を付けて売るスタイルは、万人にとって大変使い勝手が悪いです。
このように、色々な意味で悪い保険というのは存在します。そして、それが保険会社の主力商品であることすらあります。
ですから、保険は全て良いものだという主張は、明らかに間違っているのです。
万人向けの保険が存在しないという部分は正しい
嘘が混じっている一方で、上に書いた話は、大筋では間違っていません。万人向けの保険は存在せず個々人の状況にあわせて保険を選ばないといけない、という主張は正論でしょう。
一部の保険会社では、主力商品とかキャンペーン商品というのが決まっているそうです。そういった保険会社では、だれかれかまわず同じ保険をすすめるのだといいます。
当然ですが、保険会社おすすめの保険が契約者のニーズにあっていないことも多いのです。こんな保険選んだりしたら、最悪でしょう。
営業担当者がなんでこんなことをするかというと、営業成績の評価につながるからです。他の保険をすすめるよりもキャンペーン商品をすすめた方が、高く評価されるわけです。ですから、契約者の事情などお構いなしという事になるのです。
こんな状況ですから、私たち契約者としては、保険営業がすすめてくる保険が本当に必要なものなのかどうか見極める必要があります。この点は認識しておきたいものです。
保険は正しく選ばないといけません。
正しい文章に紛れ込ませるんだね
ところで、嘘をつくのがうまい人は、正しいストーリーの中に嘘を紛れ込ませるのだそうです。今回のような文章も、そのタイプの文章でしょう。
良い保険は個々人によって違うというのは、間違いなく正しいメッセージです。その中に、悪い保険は存在しないという嘘が巧妙に嘘が隠されています。
万人向けの保険が存在しないと言うことを主張することで、悪い保険が存在しないのだと論理をすりかえているのです。
こういったコラムを書ける人なら、上で指摘したような悪い保険に関する事実を知らないはずがありません。「保険は全て良いもので、みんな平等」というスタンスで無いと、問題ある立場の人が書いているのでしょうかねえ。なにか、立場上のバイアスがかかっている感じはしますよね。
次のように書き換えれば、おおよそ正しい内容になる
以上のポイントをふまえ、次のように書き換えれば、おおよそ正しい内容になりそうです。
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よく、「この保険は悪い保険だ」とか「この保険は不利な保険だ」と言って保険の解約をさせたがる人がいます。あるいは、「この保険がおすすめです」と言って、一つの保険だけが良い保険であるかのような言い方をする人もいます。
確かに、「悪い保険」や「不利な保険」が存在するのは事実です。しかし、ある保険が万能だという考えも間違っています。
まともな保険の中から、各人の状況に合わせて、自分に適切な保険を選ぶのが肝心なのです。まともな保険でも、選び方を間違えると悪い保険になる事もあります。
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まあ、だいたいこんな感じだったら、それ程問題ないでしょう。
最初に書いたような、ごまかしが入ったタイプの文章は、意外と多く見られます。変な方向に誘導されないように注意する必要がありそうです。
保険は安くない買い物ですから慎重さも大事です。
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