2014年9月の御嶽山の噴火でなくなった人に対し、生保各社は保険金の支払を決めたのだそうです。
誰かが亡くなったのだから、保険に入ってさえいれば、死亡保険金が支払われるのが当然と思う人も多いでしょう。しかしこのケースでは、保険会社は保険金を支払う必要が無いのです。
保険契約では免責といって、保険金を支払わなくても良いケースが決められています。噴火もその一つで、他には地震や津波、戦争などが免責にあたります。
ですから、保険会社のスタンスとしては、「払う必要は無いけどお支払します」ということなのです。
ちなみに、本来は免責なのに保険金を支払うのは珍しいことではありません。例えば、東日本大震災でも生命保険の免責は適用されていません。払える範囲なら免責でも払うと言うのが保険会社のスタンスのようです。
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保険の限界の一つ
ところで、何でこんな免責の規定があるのでしょうか。本当に保険金が必要なときに保険金が支払われないなんて、なんだかおかしな話ですよね。
実はその理由は簡単です。大きな災害や戦争で人がたくさん亡くなると、保険会社がつぶれてしまうからです。
つまり、保険と言うのは、想定を超えるような大きな災害には対応できないものなのです。保険と言う商品の限界として、私たちも認識しておくべきでしょう。
勘違いしている人も多い
ちなみに、この免責に関しては、勘違いしている人もいるようです。例えば、Yahoo!ニュースには次のようなコメントがありました。
これは保険業界全体で行う宣伝活動みなたいなもんなんだよ。
大きく報道される天災で…
もちろん規約に書いてある通り保険が払われなかったとしても、それがニュースになる事はないけど、それを支払えば『払います』って事が記事になるよね?
そこで保険に対する好意的な理解が深まれば結果的に保険に入る人が増えるからね。
本当に善意とかであれば、小さな自然災害で運悪くなくなった人にも支払われるはずだけど、現実はそうじゃないし…でもそれは事前に取り決めてるから批判されるべき事でもないけど…
このコメントには、かなりたくさんの誤解が詰め込まれています。
例えば、次の箇所。
もちろん規約に書いてある通り保険が払われなかったとしても、それがニュースになる事はない
これは完全な誤解でしょう。今回の件で免責が適用されて保険金が支払わなければ、逆に大きなニュースになったことと思います。結構な大騒ぎになった可能性すらあります。
過去には、生命保険ではないのですが、免責をめぐっての騒ぎもありました。例えば阪神淡路大震災では、火災保険で免責が適用され、結構な騒ぎになったはずです。
率直に言って、上のコメントは認識がおかしいのでは無いかと思います。思い込みで書いているのでしょう。
小さな自然災害で運悪くなくなった人にも支払われるはず
これも大きな誤解です。地震などの天災で免責が適用された事例と言うのは、これまでは無いはずなんですよね。それに、そもそも免責が適用される自然災害は、地震と津波、噴火くらいなものです。つまり、小さい自然災害でも免責は適用されず保険金は支払われるのです。1
この方は生命保険会社に対して、かなり捻じ曲がった見方をしているようです。まるでどこかの新聞社のように、結論あり気で書いている感じですね。
ついでに言うと、次の箇所も思い込みによる部分が大きい感じがします。
そこで保険に対する好意的な理解が深まれば結果的に保険に入る人が増えるからね。
これに関してはむしろ反対の発想をしているでしょう。死亡保険金を払わなかったら、保険会社は強く非難されるはずです。それを避けるために保険金を払ったと言うところでしょう。
率直に言って、今回の犠牲者の数なら、免責を適用するよりも払ってしまったほうが楽なはずです。批判を受けたり裁判沙汰になるよりは、普通の保険事故として処理をしましょうということなのでしょう。
おそらくこのコメントを書いた人は、保険が嫌いなのでしょう。好き嫌いは本人の問題なのでかまわないと思うのですが、事実に反する非難はちょっといただけません。
- ちなみに、災害が保険の運営に大きな影響を与えなければ、保険金を払う可能性があることは、しおりなどに明示してあります。例えば、アクサダイレクトのサイトでは、次のような書き方をしています。
(3) 保険料の払込免除の免責事由
(ト) 戦争その他の変乱、地震、噴火または津波
ただし、免除事由に該当した被保険者の数の増加が、この保険の計算の基礎に及ぼす影響が少ないと認めたときは、保険料の払込みを免除することがあります。[↩]
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