プレジデントのネット版に、「『保険のアドバイス』誰がいちばん頼りになるか?【2】」という記事が載っていました。ちなみに、ここでいう「保険」は生命保険のことですね。1
本文も面白かったのですが、この記事の最後についている、「鵜呑みにすべきでない 『保険のプロ』の主なトーク」というリストが興味深いものでした。ここでご紹介したいと思います。
ただ、リストだけ紹介しても仕方がないので、私なりに説明を加えながら一緒に考えてみましょう。
ちなみに、記事中の専門家の意見と私の意見は完全に一致しているわけではありません。興味を持ったら、比較のために元の記事を読んでみても良いかもしれませんね。誰か1人の意見を鵜呑みにしないのは、保険選びでも大事なことですから。
Contents
心配事を積み重ねて不安を煽る
【トークの中身】“if”の心配事を次々と積み重ねてくる(「老後は」「病気は」「教育費は」……)
【いま一度考えてみよう】生命保険の意義は「自己資金で対応できない非常時」。子が自立する前の世帯主の死亡が基本
「【いま一度考えてみよう】」という部分が、記事の解説の部分です。でも、ちょっとわかり辛いでしょうから、簡単に補足しましょう。
人間生きていると、様々なリスクがあるのは当然です。保険と言うのは、そのリスクに備えるために存在します。
とは言え、リスクが存在して保険が存在するからと言って、必ずしも保険で備えないといけないわけではありません。万が一発生しても預貯金で対処できるようなリスクであれば、預貯金で対処すれば良いのです。
例えば、10万円の電化製品に関しては、必ずしも保険は必要ないですよね。なぜかと言うと、10万円程度の商品なら、故障した場合は買い換えれば良いからです。
そして保険と言うのは、確率的には保険会社が儲かるように出来ています。ですから、あくまで確率の上の話ですが、保険には入らない方が有利なのです。
ですから、保険の専門家を語る人がリスクを挙げて保険を契約させようとしても、基本的には相手にしなくて良いのです。私たちが保険での対処を考えないといけないケースは、生保会社の商品では世帯主の死亡保険2 くらいです。
ということで、色々と不安を煽られても、それに乗せられて契約するのはよくないことだと思っておきましょう。
貯蓄型の保険はあるが、使うのがかしこいとは限らない
【トークの中身】“貯蓄を兼ねる”を売りに 商品を勧める
【いま一度考えてみよう】掛け捨てに比べて保険料が相当高い。保障に掛かる経費の分だけ、当然貯蓄性が落ちる
生命保険の中には貯蓄性があるものがあり、最近は貯蓄性がある保険が人気のようです。銀行が生命保険を取り扱うようになって以降、特に人気があるようですね。どうも、銀行が預金の代わりとして勧めているようです。
でも、一般的には、保険で貯蓄をするのは賢い選択とは言えません。
記事に書かれているように、保険を使ってお金を貯めるのは貯蓄性が落ちます。これは確かにその通りです。
具体的にどうして貯蓄性が落ちるかと言うと、保険で貯める場合は手数料が高くつくのです。保険で貯蓄をする場合、実は、付加保険料という手数料に相当するお金を抜かれるのです。
どんなものであれ、金融商品には、何がしかの手数料がかかります。でも、貯蓄型の保険の場合は、特に手数料が高くつく可能性が大きいようです。
ですから、保険は貯蓄に向かない商品だと思ったほうが良いのでは無いでしょうか。少なくとも、私なら勧めませんし自分でも利用しません。
もう一つ言うと、保険の場合は倒産したときの補償が手厚くないと言うのも重要な点です。契約者保護の仕組みがあることはあるのですが、銀行ほど手厚いものではありませ。
信頼できる感じを演出するために利益が小さい商品の否定を最初にする
【トークの中身】「あなたに医療保険はいらないかも」と、一見売り手に不利なことを言う
【いま一度考えてみよう】資産形成を理由に貯蓄型商品を勧めるケースあり
率直に言ってこれだけでは、この部分は理解するのが難しいですよね。ですから、ちゃんと説明したいと思います。
この項目は何を言っているのかというと、セールストークの一つのパターンを紹介しています。そして、そのパターンに気をつけなさいよという事を言いたいわけですね。
医療保険というのは、売る側からすると、あまり儲からない保険なのだそうです。そもそも医療保険というのは、保険料がそれほど高い保険ではありません。ですから、代理店などが受取る手数料も小さいわけですね。
ですから保険を売る側は、医療保険の相談に来た人に対して、まず医療保険の必要性が小さいことを説明します。保険を売る側の人が一部の商品を否定することで、顧客側に立っている人だという印象を与えることが出来ます。その上で、別の手数料が大きい保険を売るのだそうです。
保険は高額な商品ですから、契約を取ろうと思ったら、それなりの信頼関係を築く必要があるわけです。その信頼関係を作るための捨て駒の一つとして医療保険を使うわけですね。
まあ実際問題として、医療保険の必要性は確かに大きくありません。というか、契約しない方がいいケースが多いでしょう。
でも、医療保険の代わりに提示された保険の必要性が大きいかと言うと、それも疑問です。記事の理論で言うと、代わりに提示される保険と言うのは、手数料が高い保険である可能性が高いからです。手数料が高い保険と言うのは、契約者にとって不利な保険のはずですよね。
それに、そもそも、必要な保険と言うのはそれ程多くありません。必要な保険自体が少ないのであれば、提示される保険は無駄な保険である可能性が大きいでしょう。
無料相談は営業って事ね
【トークの中身】無料での「相談」をうたう
【いま一度考えてみよう】多くは「販売」の場。運営資金は販売の成果から得ていると思うべし
これに関しては、理解がしやすいでしょう。保険の無料相談と銘打って人を集めたものの多くは、実態としては単なる営業です。
そもそも、保険の相談をするにはそれなりのお金がかかります。場所代も必要ですし、専門家が話をするなら人件費もかかるでしょう。
誰かがお金を出していると言う場合を除いては、営業の一環以外の理由は考えにくいでしょう。
無料相談で公平中立なアドバイスなんて無理
【トークの中身】「公立・中正なアドバイス」をうたう
【いま一度考えてみよう】保険の情報の大半は「売り手」が出しているので難しい
上にも書いたとおり、無料相談は営業の一環です。営業の一環であれば、公平・中立なアドバイスなんて出来るはずがありません。同じような保険が2つあった場合、保険を売る側としては、多少保険料が高くても手数料が高い方を売ろうと思うでしょう。
これは卑怯なことでもなんでもなく、セールスと言う意味では当然の事です。例えば自動車の販売会社だって、販売価格も利益率も小さい軽自動車よりは、スポーツカーを売りたいはずなのです。
さらに言うと、公平・中立なフリをして、不要な保険を売ろうとする場合もあります。これも車の販売会社を考えるとわかりやすいはずです。彼らは自動車の購入者に対して、必要性の小さいオプションを売ろうとする事もありますよね。
あくまで商売ですから、この程度の駆け引きは当然あるわけです。
ちなみに、「【いま一度考えてみよう】保険の情報の大半は『売り手』が出しているので難しい」は、ちょっと意味が分かりません。記事を読み返してみても、やっぱり分かりませんでした。
加入済みの他社の保険を批判して信頼関係を築こうとする
【トークの中身】加入済みの保険商品の欠陥を2~3指摘、「こんな大事なことを説明されてなかったんですか? 」とため息をつく
【いま一度考えてみよう】「やはり外資は違う」と感心させる、外資系営業マンのトークの基本
不安を煽って商品を売ると言うのは、定番の営業トークです。保険の場合は特によく使われる方法ですね。
外資系の場合は、現在見込み客が入っている保険に関して不安を煽ることをするようです。これは、他社からシェアを奪わないといけないと言う、外資系の状況から来ているのでしょう。
全てが完璧な保険は存在しません。どんな保険でも、専門家であれば、問題点の1つや2つは指摘できるでしょう。あるいは、たいして問題が無い点でも問題があるように説明する事もできます。
素人には、なかなかこの手のセールストークを見抜くのは難しいです。注意するにしても、注意のしようがないんですよね。この手の人には話を聞かない方が良いのかもしれないですね。
独身者に葬式代ってどういう事?
【トークの中身】独身者に「葬式代は」「高度障害になったら」と親不孝を責める
【いま一度考えてみよう】若年で死亡する確率は低い。高度障害はさらにレアケース
生保会社のセールストークの一つに、独身者に対して「自分の葬式代の準備として終身保険に入りましょう」というものがあります。これは、個人的にもっとも「?」と思うセールストークです。
個人の場合は死亡保険というのは、一般的には、残された家族の生活費を準備するために入るものです。でも、独身者だと残された家族の生活費は困りませんよね。
ですから、保険会社も独身者に対して保険を売る違う理由を考えました。それで捻り出したのが「葬式代」というわけです。結構古くから使われる営業トークのようです。
でも、引用した部分にもあるように、若い人が亡くなる可能性は小さいですよね。それにも関わらず葬式代を準備って、荒唐無稽にも程があります。
しかも、そもそも葬式代程度なら、それ程大きな額はかからないはずです。保険で準備する必要なんて、まったくありません。それなら「貯金でもしろ!」と言いたくなるような話です。
また最近は、大手が葬儀業界に参入していることで、葬式の費用は小さくなっています。例えば、「イオンのお葬式」というサービスを使うと、参列者120名のプランでも、全てこみでわずか69万80000円です。これに寺院へのお布施が必要なようですが、それをあわせても100万円以下の金額でしょう。
さすがにこの金額だと、保険で準備するなんて話にはなりませんよね。荒唐無稽な話に踊らされないようにするのが大事です。常識を使って判断するのが大事です。
元本保証はいい事なのか?
【トークの中身】「元本割れしない」と強調
【いま一度考えてみよう】遠い将来と現在の金額を額面で比べてもあまり意味はない
元本保証に関しては、未だに魅力を感じる人が多いようです。でも、冷静に考えてみると、元本保証ってあまり意味が無いんですよね。特に、保険のような長期契約の商品だと、全くと言って良いほど意味が無いことです。
でもこの点は、なかなか理解してもらえないんですよね。仮に理屈でわかってもらえたとしても、やっぱり元本保証を魅力的だと感じてしまうようです。
保険の場合は元本保証があまり意味が無いというのは、次のようなケースを考えるとわかりやすいでしょう。
例えば30年契約の貯蓄型の保険があったとましょう。そして、30年後に満期保険金として返ってくるお金は、払込んだ保険料よりも若干多かったとします。
でも、この保険が本当に得かと言われると、必ずしもそうは言えません。30年後の物価は、おそらく今よりも大きく上がっている可能性が大きいからです。2倍以上になっていても、何の不思議もありません。
となると、表面上は元本保証に見えても、実質的には大きく損をする契約である可能性も大きいわけです。金融の理屈で考えると、こういう事ですよね。
こういう説明をすると、「確かに、その通り」っていう反応が返ってくるんですよね。でも、元本保証への未練が断ち切れないのです。自分に色々と理屈をつけて、元本保証が良いと自分自身で説得することになるわけです。
一つ付け加えると、元本保証とは言いながら保険会社の倒産に対しての保証はありません。一応、契約者保護の仕組みはあるのですが、貯蓄性の保険の場合は大分目減りうする可能性が大きいです。この意味でも、銀行の言う元本保証とは大分ニュアンスが違います。
セールスマンは守ってくれません
【トークの中身】「私があなたの家族を一生守ります」
【いま一度考えてみよう】情緒に訴える常套句。営業マンのほうが若くなければ物理的に不可能
ちょっと変な言い方ですが、保険の営業と言うのは、人々の不安を煽った上で安心感を与える仕事であると言えるかもしれません。例えば、世帯主が亡くなったらこんな大きな問題があると煽った上で、「保険に入れば安心できますよ」と安心感を与える売り方をするわけです。
で、その安心感を強固なものにするために、「私があなたの家族を一生守ります」みたな発言をする人がいるみたいですね。「保険会社は信じられないかもしれませんが、営業マンの私は信じてください!」という事なのでしょう。
でも、真面目に考えると、かなり変な話ですよね。一般的には、誰かが死亡するリスクに備えるために、生命保険に入るわけです。でも、「私があなたの家族を一生守ります」と言っている営業マン本人も、死亡するリスクを抱えているのです。自分や家族の死亡リスクに備えるには、生身の人間はかなり心もとないですよね。
まあ、このあたりは、生命保険の営業の伝統である「義理・人情・プレゼント」のスタイルの一つなのでしょう。
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