日本生命が三井生命を買収か?| その目的はどこにあるのだろう

日本生命が三井生命の買収を検討しているそうです。すでに最終調整の段階に入っているのだとか。買収額は3000億円から4000億円ということですね。1 国内の生保の大きな合併としては、明治安田安田生命ができた時以来なのだとか。

ところでこの合併、どんな目的で行われるのでしょうか?どのあたりに合併の意図があるのか、ちょっと調べてみましょう。

三井生命側の意図は明らかでしょう

三井生命側の意図は明らかでしょう。経営的にうまくいっていない部分があるので、大手の日本生命に買ってもらおうという思惑です。産経新聞の記事に次のような記述があります。

ただ、保険料等収入が伸び悩んでいる上、保険商品の実際の運用利回りが契約者に約束した運用利回りを下回る「逆ざや」が続くなど、財務基盤の強化が課題となっていた。2

三井生命の株式のかなりの部分は、三井系の企業が持っています。三井生命のサイトによると、以下のような企業が三井生命の株主になっているようです。

  • 三井住友銀行:14.02%
  • 三井住友信託銀行:9.03%
  • 三井住友海上火災保険:7.20%
  • 三井物産:4.06%
  • 三井不動産:4.05%

ちなみに上のリストは、企業名に「三井」が入っている企業を抜きました。これだけで、38.36%の株を持っています。主要株主として紹介されている分だけですので、三井系の企業で三井生命の株を持っている企業はさらに多いでしょう。いわゆる持合の状態ですね。

三井生命の事業がうまくいっていないので、これらの企業はバランスシートから三井生命を外すことにしたわけです。非常にわかりやすい話ですね。

首位を取り返すための買収なのか?

それでは日本生命が三井生命を買収する目的は何なのでしょうか?

日本生命といえば、ずっと日本の生保業界でトップを走る企業でした。この場合のトップというのは、保険料収入のことですね。しかし、昨年第一生命に抜かれて第2位に転落しています。

上の産経新聞の記事によると、奪われた首位を取り返すために買収するというようなことが書かれています。でも、個人的には、ちょっと納得しがたいです。単に首位を取るためだけに、高いおい金を払って、逆ザヤが続いている保険会社を買うとは思えないんですよね。

もちろん日本生命は、プライドが高い企業でしょう。ですから、ぜひとも首位を取り返したいとは思っているはずです。とはいえ、それが第一の理由で買収をすることはありえません。

国内市場の縮小に対応するための買収でしょう

日本生命が三井生命を買収する理由は、当然1位を取り戻すためではありません。それよりも、国内のマーケットの縮小が予想されるので、今のうちにシェアをとっておこうと考えているのでしょう。

日本の人口構成を考えると、生命保険の市場は小さくなる一方です。なぜかというと、生命保険は基本的には若い人が入る保険だからです。

医療保険や個人年金保険などの、比較的年齢が高めの人向けの保険ももちろん存在します。でも、いわゆる死亡保険3 は若い人向けの保険なのです。

結婚して子供が生まれた直後に、死亡保険の必要性は一番大きくなります。そして、徐々に必要性は小さくなっていくのです。

今後は移民でも入れない限り、若い人の数はどんどん減っていくはずです。ということは、生保業界に待っているのは過当競争です。そうであれば、今のうちに弱い企業を吸収して、優位に競争を進めようと思うのは当然ですよね。

しかも2015年の11月には、かんぽ生命の上場が予想されています。かんぽ生命が今よりも幅広い商品展開をするようになったら、競争はより激しくなるでしょう。

三井生命の得意分野に注目した買収という意見も

日本生命が三井生命を買収する理由について、毎日新聞が面白い見方をしています。日本生命の苦手分野である、銀行の窓口販売を強化するために三井生命を買収するというのです。4

日本の生命保険市場は、毎年のように縮小している時代がありました。保険会社の保険料収入が、毎年小さくなっていたのです。しかし、銀行の窓口での保険の販売が解禁されてからは、再び保険料収入を増やしています。

ただ、そんな流れに乗り遅れたのが日本生命でした。毎日新聞の記事によると、保険料収入全体に占める銀行窓口販売の割合は、日本生命では9%しかないそうです。しかし、業界首位の第一生命は35%も銀行の窓口販売が占めるのです。

誰の目から見ても、銀行の窓口販売の遅れで首位の座を奪われたのは明らかですよね。ちなみに、明治安田生命も保険料収入の25%を銀行の窓口販売が占めます。

こんな状況ですから、銀行の窓口販売に強い三井生命の買収を考えたというのが毎日新聞の主張です。確かに、一理ありそうですね。

業界再編の流れは本格化するかも

今回の買収劇が契機になって、生保業界の再編が進む可能性は大きそうです。業界の規模が縮小する以上、企業数が減らさざるを得ない状況は避けられないでしょう。

特に生命保険は、ある程度の規模がないと経営が安定しないという特徴を持っています。なぜかというと、生命保険というのは、将来支払う保険金の総額を確率的に計算しています。しかし契約者数が少なすぎると、結果が確率どおりにならない可能性が大きくなるのです。

また、企業の規模が小さすぎると、保険料収入に対する事務コストなどの割合が大きくなります。つまり、企業の規模を大きくすると、利益率が大きくなることも期待できるのです。

このような状況ですから、この手の買収劇が増えるのは、必然だと考えられるわけです。まあ、すぐにいくつも合併するとは思いませんが、長期的には合併して数を減らしていくのでしょう。

ちなみに、この手の合併は、損保業界でいち早く行われています。その流れが生保業界にも波及したとも考えられそうですね。


  1. 日生が三井生命買収 来月合意、首位を奪還
    産経新聞 2015年8月27日 []
  2. 日生が三井生命買収 来月合意、首位を奪還
    産経新聞 8月27日 []
  3. 誰かが亡くなった時に保険金が支払われる保険を死亡保険と言います。言うまでもなく、生命保険会社の主力商品です。 []
  4. <日生>三井生命の窓販専門化を検討 首脳級役員派遣へ
    毎日新聞 2015年8月27日 []

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