日刊ゲンダイが個人年金保険に関する記事を書いていました。その中の一つの段落を参考に、個人年金保険の受け取り方に付いて考えてみましょう。1
まず、もともとの記事がどんな記事だったかと言うと、生命保険文化センターの調査を元に、個人年金保険の現況を解説していくというものです。
そして文章の後半に、個人年金保険の給付期間に付いての記述があります。
個人年金保険の給付期間は、基本的には自分で選ぶことができます。5年間とすることもできますし、終身で受け取ることも可能です。
その中で、どのくらいの期間を選ぶ人が多いのかという調査があったのです。
まずは、記事の該当部分を引用してみましょう。
個人年金の給付期間は次の通り。短い順に「5年間」9.4%、「10年間」42.7%、「15年間」6%、「終身」15・5%(残りはその他、不明)。お金さえあれば終身年金が理想的だろうが、サラリーマンの場合はなかなかそうはいかない。体が動くうちはシッカリ働いて稼ぎ、65歳あたりから「10年間」……というのもベターな選択肢になってくる。
とりあえず、この段落で書いていることは2つです。一つは「10年間」を選ぶ人が42.7%と最多だったということです。そしてもう一つが、記者は「10年間」を選ぶのがベターだと思っているということです。
前半部分に関しては、純粋な調査結果なので否定のしようがありません。でも、後半部分に関しては、何の根拠も示されていないようです。何の説明も無く、「10年間」を選ぶのがベターという結論だけが書かれています。
これで納得しろといわれても、ちょっと無理ですよね。
10年じゃ短いよね
さて、冷静に考えると、65歳から10年では短すぎますよね。
65歳から10年間年金をもらうということは、75歳まで受け取れるということですよね。でも、75歳だとまだ生きている可能性が大きいです。そこからの期間はどうするのでしょうか?
75歳からは公的年金だけでひもじい生活を送れという主張なのでしょうか。そんなことは無いとは思いますけどね。
ということで、65歳から10年間がベターと言うのは、ちょっと理屈に合っていないように思いました。70歳から10年間なら、まだ理解できますけど。
単純に何年がいいとは言えませんが
それでは、個人年金保険の給付期間は何年がいいか、という話になってきます。実は、これに関しては、単純に言うことは出来ません。
本来的には、死ぬまで受け取れる終身を選ぶのがベストです。記事では「お金さえあれば終身年金が理想的」などと書いていますが、お金が無くたって終身がいいに決まっています。
終身保険にすると、毎年の年金額自体は少なくなるというデメリットはあります。でも、死ぬまでもらえる安心感も得られるのです。
ただ、終身年金を選んでも完璧ではありません。
例えば夫が被保険者になる終身保険で、夫が先に死んでしまったとします。残された妻はそれ以降、個人年金の給付がありません。
この場合、夫が亡くなることで、妻が受け取る公的な年金額も変化をします。そのあたりの事情まで勘案して対策を立てる必要があるでしょう。個人年金保険が無くなってもやっていけるのかを検討するわけです。
もっとも、そこまで分かって個人年金保険の契約している人がどの程度いるかは疑問です。保険の営業も、よく分かっていない人が多いようですしね。
連生年金という受け取り方もある
一応、個人年金保険の仕組みとしては、連生年金というものもあります。これは、妻と夫のどちらかが生きていれば年金をもらえるという仕組みです。
これなら、夫か妻のどちらかが先に無くなっても、残された方が年金を受け取れないということはありません。
でも、連生年金を商品化しているところって、少ないんですよね。ですから、そういうところを探して契約するだけでも一苦労です。
また、連生年金を選ぶと、さらに受け取れる年金額が減ります。論理的には給付期間が延びるので、その分年金の額を減らすのです。
個人年金保険を使うか問題も
最後にもっと身も蓋も無い話をしてしまうと、そもそも個人年金保険を選ぶのが正解なのかという問題もあります。
老後の生活資金を準備する方法として、個人年金保険は合理的な選択肢なのでしょうか。
実は、個人年金保険には致命的な弱点がいくつかあります。例えば、インフレに弱い保険ですし、手数料が高いのも気になります。
そのあたりまで細かく書いてしまうと、完全に話がそれてしまうので、ここではこれ以上言及しませんけどね。
- 5世帯に1世帯が加入 気になる老後の蓄え「個人年金」の現実
日刊ゲンダイ 2015年10月7日 [↩]
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