第一生命が契約社員3,000人を無期雇用にするようです。
第一生命の規模から言って、契約社員が3,000人ということは無いでしょう。一部の契約社員に限った話ということのようですね。
この制度変更がどのようなものなのか、SankeiBiz の記事1 などを参考にしながらみていきましょう。
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無期雇用って何だ?
さて、そもそも無期雇用って一体何なのでしょうか。この手の分野に関心があまり無い人には、なじみが無い言葉ですよね。SankeiBiz の記事では説明も無く使われていましたけど。
もっとも、無期雇用に関しては、漢字の意味そのままです。期間を定めが無い雇用だから無期雇用と言います。
契約社員の場合は、半年とか1年とか契約期間が決まっていることが多いです。この人たちの場合は、期間の定めがある契約なので、有期雇用といいます。アルバイトなども有期雇用であるのが一般的です。
期間の定めがないという意味では、いわゆる正社員も無期雇用です。
有期雇用の契約社員よりはかなり身分が保証されている
有期雇用契約した人を長期間使うには、期限が切れるごとに新たな契約を結びなおすことになります。ですから、雇われる側にとっては非常に不安定という特徴があります。
一方、無期雇用になると、この更新の必要がありません。また、会社の側が解雇するのはそれほど簡単ではありません。
ですから、本人がやめるというか定年が来るまでは、会社員の身分は安泰だと言えます。
実は、この点を誤解している人が多いようです。Yahoo!ニュースのコメントランには次のような意見がありました。
いい話しではあるけど、業績が悪化したら真っ先に切られると思う。
こんなふうな誤解をしているわけですね。もちろん業績が悪化したら解雇される可能性が無いとは言いません。しかし、クビを切る順番はそれほど早くないはずです。
まずは、派遣社員や有期の契約社員が契約更新しないという形で切られるでしょう。無期契約の契約社員が切られるのは、その次の段階です。正社員と同じタイミングだと考えていいと思います。
無期雇用であるが正社員ではないのが今回のポイント
今回のニュースで大事な点は、あくまで無期雇用にするというだけという点です。正社員にするというわけではありません。
条件面でのかなりの改善はあるようですが、お貴族様とは同列では無いということみたいですね。一般的には、無期契約の社員は正社員なんですけどね。第一生命では明確に線引きを残すようです。
あくまでヒエラルキーは維持するというのが、第一生命の決断のようです。まあ、いかにも古い会社という感じは否めません。
正社員にするわけではないということは、会社の中で重要なポストを得る可能性が無いということでしょう。契約社員という位置は維持したまま、条件が少し良くなるわけです。
「正規」という言葉は、かなり曖昧に使われている
ちなみにSankeiBiz の記事のタイトルである「第一生命、契約社員3000人を無期雇用 福利厚生も正規職員並みへ」という言い方は、微妙におかしな点がある表現に思えます。
というのも、国語辞典の「正規雇用」の定義は「正社員のように、期間を特に限定せず定年まで契約を結ぶ雇用形態(デジタル大辞泉)」です。ということは、3,000人の契約社員は正規雇用にはなるわけですよね。それを「正規職員並みへ」というのは少し変なのです。
もっとも同じデジタル大辞泉では「正規社員⇒正社員」とも書かれています。つまり、この項目では正規社員は正社員だと言っているわけです。この意味だと、今回の契約社員は正規ではありません。
どうやら、いまだに定義があいまいで、一冊の辞書の中でも整合性が取れていないようですね。とりあえず、第一生命の見解としては、無期雇用の契約社員はあくまで契約社員で、正社員ではないということです。
なぜ今のタイミングに制度変更?
契約社員の雇用条件がよくなるのは良いことなのですが、気になるのはなぜ今のタイミングなのかという点です。
同業他社では、日本生命が少し前に同じようなことをしています。今変更するには、業界としてそれなりに合理的な理由があったということなのでしょうね。
主な理由として考えられるのは、国内の雇用状況が改善しているからというのが大きいでしょう。
国内の有効求人倍率は、2014年以降、ほとんどの月で1倍を越えています。2014年の5月だけ若干1倍を割っていますけど。
有効求人倍率が1倍を超えているというのは、労働者よりも求人が多い状況です。
完全失業率も、2012年の年平均が4.3%だったのに対し、これを書いている時点で直近の2015年8月には3.4%まで改善しています。2010年前後には5%を超えていた時期もありましたから、大幅な改善と言えるでしょう。
こんな状況ですから、有能な社員は確保しておきたいと思うのは当然と言えるでしょう。政府の経済政策が雇用環境をいい方向に動かした一例とも言えそうです。生保業界に限らず、優秀な人員の確保は各社ともに重要課題になっているようです。
全員が無期雇用になるわけではない
記事によると、すべての契約社員が無期雇用になるわけではないようです。「2017年4月時点で勤続5年以上の希望する契約社員が対象で」なのだそうです。
ちょっと分からないのが、この契約社員がどんな仕事をする人たちなのかと言う点です。いわゆる内勤の社員なのでしょうか。あるいは、セールスレディなどと呼ばれている営業の職員なのでしょうか。
Yahoo!ニュースのコメント欄をよむと、いわゆる生保レディーが対象になると思っているようです。でも、あの方々は歩合制の契約をしているはずですので、契約社員という言い方はなじみません。それに、3,000人だと数が少なすぎるでしょう。
ということは、内勤の仕事をしている人たちということなのかなあ。
まあ、何にしても、使えるかどうかも分からない人たちと無期契約をするのはリスクがありますからね。勤続5年程度のハードルを設けるのは、不思議なことではありません。
他の条件も改善
ちなみに、無期契約になる以外にも改善点はあるようです。
まず、働ける年齢が延びるようです。
定年は60歳だが、正規の内勤職員と同様に再雇用の制度を使えば65歳まで働けるようになる。
60歳以降も働きたいと言う希望を持っている人には、良い変更ですね。60歳から新しい仕事を探すとなると、なかなか大変でしょうから。
福利厚生などの面でも、改善が見られるようです。
福利厚生制度については、無期、有期雇用にかかわらず契約社員全員が対象となる。給与から一定の金額を差し引いて自社株が購入できる持ち株会への参加に加え、社内医療保険や団体傷害保険などの加入もできるようになる。
持ち株会はによる自社株購入はともかくとして、社内医療保険や団体傷害保険を使えるのはそうとう有利になるでしょう。
もっとも、医療保険を扱う生命保険会社の社員が傷害保険に入るのかという疑問はありますが。医療保険と傷害保険が、かなり似た保険であるのは間違いない事実ですからね。
あと、余談ですが、個人的には持ち株買と言うのは、あまりよろしくない制度だと思っています。勤め先の株を買うと言うのは、リスク分散上あまりいいことではないのです。
むかしアメリカの401kがらみで大事件もありましたよね。
エンロンという会社が401kを使って社員に自社株を買わせていました。しかし、結局会社が倒産してしまったと言う事件です。
会社がつぶれて仕事を失い、しかも老後の資金まで失ったわけです。こういうリスクがあるので、自社株を買うというのは、資産運用の観点からは避けたほうが良いのです。
さて、話を戻しましょう。給与面に関しても、大幅に改善が見られるようです。
一部の短時間勤務者を除き、月給の昇給上限を約7割引き上げる。
上限が上がるという書き方をしていますから、仕事ができる人は給与が増えるという意味なのでしょうね。でもそれ以外の人は大きく違わないのではないかと予想されます。
まあ、それでも、給与が上がる可能性があるのは、悪いことではありません。
そのほかにもいくつかの改善点があるようで、契約社員にとってはかなりメリットがありそうです。
- 第一生命、契約社員3000人を無期雇用 福利厚生も正規職員並みへ
SankeiBiz2015.10.10 07:01 [↩]
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