漢字生保の主力商品「定期付終身保険」にはデメリットが多い

某生保会社のサイトを見ていると、「ご提案例」というものが掲載されていました。
こういうところにわざわざ提案例を書くということは、この生保会社ではこういう商品を売りたいと言う事でしょう。

実際その内容を読むと、保険営業にすすめられる事が多い形として一般向けの保険の本などでも紹介されるものにそっくりです。
参考になる内容だと思うので、ご紹介したいと思います。

ちなみに、この生命保険会社は古くからある生命保険会社の一つです。
漢字生保と呼ばれる生保会社ですね。

損保系の生命保険会社や外資系の生命保険会社では違った形の保険を提案されることも多いと思います。

終身保険にたくさんの特約が付く形

まずは、保険会社がどんな提案をしていたかを見てみましょう。
この保険会社では、死亡保険として、以下のような提案をしていました。

●ご提案

終身保険: 100万円
定期保険: 1,000万円
3大疾病保障保険: 500万円
身体障がい保障保険: 1,400万円
総合医療保険: 日額5,000円
保険料払込免除特約: 付加

●保険料例

・ 月払・口座振替扱
・ご契約30歳 更新45歳 払い込み・更新満了60歳

男性の合計保険料: 13,870円
初回更新時保険料: 32,230円(45歳~59歳)

旧来の生保会社が売りたがる保険の代表が、定期付終身保険と呼ばれる死亡保険です。
これはどんな保険かというと、終身保険が主契約でそれに定期保険の特約が付いています。

今回の提案は、まさにこの形ですね。
明示されていませんが、一番上の終身保険が主契約ですね。

そして、特約として、定期保険が付いているわけです。
この例では、さらに、医療保障などの特約も付いています。

さて、正直に言って、この保険は色々と気になる点があります。
まず一番気になるのが、死亡保険金の少なさです。

私が知る限り、一般家庭向けで死亡保険金が1,100万円ということはまずありません。
古くからある大手生保だと、死亡保険金はもっと大きな額を提案される事が多いでしょう。

意図的に小さい額で提案例が紹介されているように思えます。
月々の保険料が大きいと、しり込みする人が入ると思っているのでしょうか?

夫の年収などにも拠りますが、数倍の死亡保険金額を提案されると思っていいでしょう。

ちなみに、1,100万円の死亡保障だと、本当に最低限の保障という感じです。
具体的にいくら必要かは各家庭によって異なりますが、イメージとしては「夫婦と子供1人の家庭なら最低限1,000万円くらいは」というイメージで良いと思います。

問題点がてんこ盛り

個人的には、この提案には様々な問題があると感じています。
上で指摘して死亡保険金の小ささもそのうちの一つです。

この額では、ぜんぜん足りない可能性も大きいです。

しかし、問題点はそれだけではありません。
このほかにも、色々な問題点がありそうです。

率直に言って、この提案に乗ることはおすすめできません。

具体的に何が問題なのでしょう。
主だったものを指摘していきましょう。

そもそも終身保険が必要なのか?

まず指摘したいのが、定期付終身保険という商品の合理性についてです。
定期保険と終身保険を組み合わせる必要はあるのでしょうか?

既に指摘しているように、そもそも上の形の提案では、死亡保険金がぜんぜん足りない可能性もあります。
十分な保険金を確保するのなら、保険金に対して保険料が小さい定期保険だけにする方が賢い選択でしょう。

終身保険の分の保険料を定期保険に振り分ければ、大きな保障を得る事ができます。

それではなぜ、生保会社は上のような提案をしたのでしょうか?

あくまで推測ですが、終身保険を主契約にするのは、生保会社にとってその方が都合が良いからでしょう。
終身保険は契約期間が長いので、主契約として使いやすいのです。

終身保険なら途中で契約解除がない限り一生涯契約が続くので、この点ではぴったりの保険といえます。

また、契約期間が長いものを主契約にしておくと、大きな保険が作りやすいのです。
契約期間の長い保険に、たくさんのおまけをつけるイメージですね。

もっとも、終身保険が主契約なのは、顧客側のニーズもあるのかもしれません。

掛捨ての保険を嫌う人も一定数はいるようです。
終身保険は将来的に何かしら戻ってきますので、掛捨て嫌いの人も契約しやすいのです。

お金が戻ってくる分の保険料が高いだけなので、掛捨て保険を必要以上に嫌う合理性はないですけどね。

医療保険と死亡保険をセットにするのはダメ

別のページで説明したとおり、医療保険と終身保険をセットにするのは最悪の選択です。
その意味でも、この提案はあまり良いものとは思えません。

終身保険を解約すると解約返戻金が受け取れます。
このお金は、イザと言うときに使う事ができるはずのお金です。

しかし、医療保険とセットにする事で、この保険は解約しにくくなってしまうのです。
というのも、終身保険を解約すると、特約である医療保障までなくなってしまうのです。

医療保障を継続したければ、おいそれと終身保険を解約するわけにはいかないのです。

保険の使い勝手を良くするためには、一つにまとめるのは良い選択ではありません。
必要に応じて、一つずつ契約するのが基本と言えるでしょう。

そもそも医療保障がいらない可能性も

医療保険に関して言うと、もう少し違った見方もできます。
そもそも医療保険が必要なのかというところにも大きな疑問があるのです。

生命保険について考える人の多くは、医療保険にも入るのが当然だと思っているようです。
テレビCMなどでそういうイメージを植えつけられていますから、医療保険が必要だと考えるのも無理はありません。

しかし、冷静に考えてみると、医療保険の必要性はそれ程大きくありません。

日本の公的な医療保険制度、すなわち健康保険や国民健康保険は、十分に手厚い制度です。
ほとんどの家庭では、公的な医療保険だけで医療に関しては十分に対処できるでしょう。

生保会社の医療保険に入るくらいなら、預貯金として100万円程度貯めることをおすすめします。

そもそも、掛捨て保険は大変手数料の割合が大きい保険です。
入らないで済むのなら、可能な限り入るべきではありません。

そして、医療保険は入らなくても済む保険の代表と言えるような存在です。

特約を付けすぎていないか検証も必要

もう一つ気になるのが、特約をつけすぎていないかと言う点です。
こういった大型の契約では、あれもこれもと特約を付けすぎる傾向があるようです。

説明資料に書かれた特約のメニューを見ているうちに、不安に感じてしまうのでしょうか。

もちろん、特約をつけると保障が充実します。
ですから、必ずしも悪い事ではありません。

しかし、当然ですが、特約を増やせば保険料はアップします。
保険料をアップさせても保障を充実させる事が、理にかなっているかどうか考えないといけません。

例えば今回の例だと、死亡保険金が小さい気がします。
同じ保険料での契約を考えるなら、定期保険以外の特約をはずして定期保険の額を大きくした方が、合理的なかもしれません。

あるいは、保険料を安くして、老後資金などのために貯蓄した方が有効かもしれません。

問題だらけの保険でも人気商品

このように、今回挙げた例は問題だらけに見えます。
しかし、このような契約をしている人は、少なくないはずです。

古くからある大手の生保会社が提案例として出している以上、これに近い形で契約している人が少ないはずはありません。
上にも書きましたが、実際は死亡保険金をもっと大きくした提案がなされているでしょうけどね。

何にしても、大手の生保会社の提案だからと言って、鵜呑みにして契約するのは危険だと言う事でしょう。
自分にとって不要な契約をしないためにも、保険の知識を身に付けることをおすすめします。

生命保険はトータルで考えると数百万円かかる商品です。
そんな高額商品を知識もなく選ぶなんて危険すぎます。

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