生命保険に入るときに決めておかないといけないのが、保険金の受取人です。
生命保険は対象の人(被保険者と言います)が死亡するとお金が支払われる仕組ですよね。ということは被保険者が契約者の場合、誰か別の人を保険金受取人に決めておく必要があります。
そうしないと、誰に保険金を払っていいのか保険会社が判断できないのです。
同性カップルでもOKに
この保険の受取人にちょっとした変化があったそうです。日本生命では、同性カップルのパートナーを死亡保険金の受取人出来るようにしたそうです。1
AさんとBさんが同性カップルなら、Aさんを被保険者にしてBさんを受取人にすることは、今までは原則として出来ませんでした。それを出来るようにしたということですね。
ただし、東京都渋谷区の「結婚に相当する関係」の証明書が必要なようですけど。
ちなみに日本生命では、「配偶者もしくは2親等以内の血族」という条件を設けているようです。あくまで原則としてと言う話で、例外もあるようですけど。
この配偶者にあたる人として同性カップルのパートナーも含めることにしたわけです。
なぜ渋谷という一つの地方自治体の証明書なのかと言うと、今のところこれしか公的な証明が無いからのようです。ということは、渋谷区が発行しているような証明書が他所でもできれば、適用範囲が拡大される可能性もありそうです。
家族以外は受け取れないようにしている理由は?
ところで、日本生命が家族以外を保険金受取人に出来ないようにしている理由は何なのでしょうか。
これは、保険金がらみの事件を防ぐためという側面が大きいのでしょうね。
誰もが保険金受取人になれるということだと、保険金殺人のようなことを誘発しやすくなります。実際、家族以外の人を被保険者にした保険金殺人は、過去に何件もおきています。
あるいは、お金を貸した相手を生命保険に入れておいて、「万が一返済できないときには…」と言うような話もあり得なくありません。
とは言え、死亡保険金を家族に限定すると言うのは、絶対的なルールではないようですけどね。約款をざっと読んだ限りでは、特にそのようなことは書かれていませんでしたし。
それに法人が契約する場合、法人を受取人に出来ないと困る場合もあるでしょう。ということで、契約するときの社内のチェック項目的なものなのだと思われます。
ちなみに、以前は、愛人を受取人にした契約もあったそうです。手切れ金的な意味合いだったのでしょう。今もあるのかは知りませんが。
同性のカップルに生命保険は必要なのか?
部分的にでも同性のカップルが生命保険に入れるようになったことは、彼らの権利拡大というような文脈においては非常に意味があることでしょう。実際、記事の中で次のような記述もあります。
28日に第1号となる証明書の申請を行った会社経営の増原裕子さん(37)は、「保険業界の変化は同性カップルへの理解が深まる第一歩として歓迎したい」と話していた。
でも、必要性という意味においては、ちょっと疑問があります。同性カップルは生命保険に入る必要があまりなさそうなのです。全く無いとは言いませんけどね。
個人が生命保険に入る場合、家族の誰かが亡くなった時に残された家族が生活できるかどうかが重要になります。誰かの死亡で金銭的に困る可能性が大きいのなら、生命保険で対処しないといけません。
その意味で、生命保険が一番必要なケースは、子供がいる家庭です。
子供がいると遺族年金がもらえる可能性が大きくなるので、残された親が働けば、経済的には何とかやっていけるでしょう。しかし、大学進学まですると、学費の工面が難しいケースが多そうなのです。これに備えるために生命保険に入ることは意味があります。
でも子供がいない家庭だと、残された方が自分の生活費を稼げれば事足りるわけです。経済的に全く大変でないとは言いませんが、今の日本なら何とかなる話しですよね。
そして同性カップルだと、普通は子供はいません。ですから、生命保険の必要性はちょっと小さくなると考えるべきなのです。
例えば、同性カップルのどちらか一方が健康上の不安を抱えているような場合なら、生命保険も意味があるかもしれません。不慮の事故で健康面で不安がある人が残される可能性もあるからです。そうなると、経済的にはかなり厳しくなりますよね。
でも、多くの場合で必要性はそれほど大きくないのではないかと思われます。
まあ、必要性があろうと無かろうと、今まで利用できなかったものが利用できるようになることは、本人たちの利益ではあるはずですけどね。
他社が追従する動きも
- 同性カップル、保険金受取人に…渋谷区証明書で
読売新聞 2015年10月30日 [↩]
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