日銀がマイナス金利を導入したときに、いくつかのデメリットがあげられました。そんな中で挙げられたものの一つが、生命保険の保険料に関するものです。
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マイナス金利の影響で生保の保険料が上がった
まず、市場の金利と生命保険の保険料の関係を確認しておきましょう。
市場金利(日本国債の金利の事だと思ってください)は生命保険の予定利率と関係しています。市場金利が大きく下がってしばらくすると、生命保険の予定利率が下がります。あるいは、市場金利が大きく上がってしばらくすると、生命保険の予定利率が上がります。
ちなみに、予定利率というのはなにかというと、生命保険の保険料と保険金の関係を決定するときに使われる数字です。保険料の中で運用に回される部分が予定利率で運用されるとすると、保険料に対して保険金はどうなるという関係が決められるのです。
予定利率が高いという事は、保険会社が上手に運用するという事ですから、その分保険金に対する保険料は安くなります。逆に、予定利率が低いと、保険金に対する保険料は高く成ります。
ということは、今までの話をトータルで考えると、国債の金利が大きく下がると、保険料は上がることになります。
市場金利が下がったので生命保険の保険料が上がった
さて、日銀の国債買い入れによって、国債の金利は下がりました。という事は、保険金に対する保険料が上がってもおかしくないわけです。
そして、実際にそういうことは起こったようです。例えば、次のような記事です。
日本生命保険は10日、貯蓄性が高い一時払い終身保険の保険料を4月から平均7%値上げすると発表した。値上げは昨年7月以来、9カ月ぶり。今回の改定で、50歳男性が死亡時に500万円受け取れる保険に加入した場合、支払総額は31万6900円上がって468万7350円になる。1
また、中には、終身保険の取り扱いを中止する保険会社があるというような報道もありました。保険料が高くなりすぎるので、終身保険の契約者が極端に減ると予想したわけですね。
影響を受けるのは貯蓄性の高い保険
こういう報道があると、確かになんとなく、消費者にとって不利な政策が採られているという印象を持つ人もいるでしょう。でも、個人的には、それほど不利になっていないように思うのです。
まず、今回のマイナス金利で保険料が上がるのは、これから契約する分に限られます。つまり、既に契約をしている人には影響がありません。
これは、逆に言うと、今契約をしていない人が今後契約する分の保険料が高くなるという話なんですね。ということは、現時点で契約していない人は、高い保険料がいやなら契約をしなければいいのです。
これって、別に不利なことではありません。だって、契約をしないという選択肢が残っているわけですから。不利なのが分かって、その上で絶対に契約をしないといけないのなら、そりゃ不利な契約をさせられたと騒いでも良いでしょうけどね。
もちろん、本当に必要な保険であれば、契約しないというわけにもいかないでしょう。でも、マイナス金利で保険料が大きく上がるような保険の必要性が大きいかというと、かなり疑問があるのです。
なぜかというと、市場金利の下落の影響を受けて保険料が上がるのは、貯蓄性の保険だけだからです。貯蓄目的の商品を探したければ、保険以外の商品を探せばいいんですよね。
一般的には、市場金利が下がると、株価は上がると言われています。そういう関係があるのですから、株式の投資信託でも買えば良いわけです。株式の投資信託を買うには、逆に有利な時期かもしれません。
それに、そもそも、低金利の時代には保険での投資はあまり良い選択ではありません。ですから、市場金利がもう少し高い時期から避けておいたほうが良かった商品が、さらにちょっと買いにくくなったというような話だと思うのです。
相続対策で終身保険を使いたい人くらいでしょうか
このような状況でも終身保険に入りたいと思う人は、相続対策として終身保険を使おうと考える人くらいでしょう。生命保険を使うと相続税が節約できます。
そういう人には貯蓄性の生命保険しか選択肢が無いので、多少の損失が分かっていても終身保険に入らないわけにはいきません。まあ、彼らにとっては確実に損でしょうね。
もっとも、彼らとしては、相続税の節税でがっぽりと得をしようと考えているはずです。多少保険料が上がろうと、それほど気にしないでしょうけどね。相続税の節税メリットの方が、はるかに有利でしょうから。
マスコミは大きく騒いだが
安倍内閣に批判的なマスコミは、ここぞとばかりにマイナス金利を批判しました。当初は、大失敗であるかのようなレッテル貼りをしているところがかなりありましたよね。
そして、新しい政策で何となく不安に感じた人たちも、マスコミに乗せられるように大騒ぎをしました。Yahoo!ニュースのコメント欄を見ていると、あまり理解しないで騒いでいる人が多かったみたいです。
でも、冷静に考えてみると、私たちにとって大きなデメリットは無いように思えます。マスコミに踊らされないような冷静さは必要かもしれませんね。
- 日生、終身保険料を4月から値上げ
SankeiBiz 2016年3月11日 [↩]
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