小泉進次郎が言う「こども保険」は保険のていをなしていない

先日、小泉進次郎議員などの自民党の若手議員が、「こども保険」なるものを提案をまとめたのだそうです。もう少し正確に言うと、「2020年以降の経済財政構想小委員会」というところの提言のようですね。1

社会保険料に上乗せする形で徴収し、幼児教育無償化を目指すのだとか。

産経新聞の記事から、ちょっと引用してみましょう。

こども保険は厚生年金の場合、平成29年度で15・275%の社会保険料について個人、事業者とも当面0・1%分を上乗せして徴収し、約3400億円の財源を捻出。将来的に0・5%分まで引き上げて約1・7兆円を確保し、幼児教育と保育を実質無償化する。

給料が月に30万円とすると、最初は300円程度という事ですね。それが最終的には1,500円程度にまで増えるという事です。

これって保険なの?

さて、この仕組みですが、私にはさっぱり理解できません。というのも、彼らが提案しているものは保険でも何でもないからです。

保険を考える時には、まず、保険事故というのを定めないといけません。保険事故というのは、簡単に言うと、保険金が支払われる条件の事です。

どうやら、記事を読む限り、彼らの言う制度では子供が保育園や幼稚園に入る事を保険事故として想定しているようです

子供が保育園や幼稚園に入るのを事故とするのは、ちょっと不思議な感じを持つ人がいるかもしれません。ただ、実は、このこと自体はそれ程おかしなことではありません。

例えば、年金保険の場合は、誰かが一定の年齢になる事を保険事故と考えたりします。「事故」という言葉に引きずられてしまうと違和感を感じてしまうかもしれませんが、経済的に大きな出費があるイベントととらえておくと分かりやすいのではないでしょうか。

ただ、問題なのは、お金の出し手と受け手の関係です。

普通の保険では、保険料を払う人は、その人にメリットがあるから保険料を払うわけですよね。例えば国民年金も保険の一種ですが、自分の年齢が上がった時に給付がもらえるように保険料を支払います。自分に経済的なメリットがあるから払うのです。

あるいは、一般的な生命保険だと、誰かが無くなった時に保険金が希望する人のところにわたるように、保険料を支払支払います。これも当然、保険料を支払う人に経済的なメリットがあるわけです。

でも、今回の提言だと、保険料を払った人には何のメリットも無いんですよね。何のメリットも無いのに、ただ保険料を取られるのです。

はっきり言って、こんなもの保険とは呼べません。筋が悪いにも程があります。

本来は一般会計から支出すべきもの

勘違いしていただきたくないのですが、子供の幼児教育を無償にすること自体は、特に悪い事だと思っていません。それで出生率が上がる可能性があるのであれば、政策として教育費の無償化は検討しても良いでしょう。

でも、保険でないものを保険と呼んで、社会保険料に上乗せするというやり方がダメなのです。強い違和感を感じます。

本来だったらこの制度は、予算の中に組み込んで、一般会計から支出すべきものでしょう。そのためのお金が必要なら、増税か国債の発行で賄えばいいのです。

これを書いている現在の経済状況を考えると、増税をすべきタイミングではありません。という事は、国債を発行すればいいわけですね。

つまり、小泉議員らは、国債発行すべきという提案をすべきところを、保険にすると言ってしまったのです。保険でも無いのに。

財務省は賛成みたいですね

ちなみに、小泉議員らの提案に対して、後押しをするような発言をした人がいます。麻生財務大臣です。2

率直に言って、この方は、財務省の意向に沿った発言をしているように思われます。財務省と言えば、意地でも国債の発行を増やしたくないと思っているはずです。となると、いくら筋が悪かろうが、社会保険に上乗せする形の方が望ましいわけです。

小泉氏には少しがっかり

小泉進次郎氏には期待している人が多いようです。でも、個人的には、この方は経済分野が弱いのではないかと懸念しています。

その懸念が、今回の提言で、より強いものになりました。「やっぱ、こいつ分かってねーな」と思わずにはいられません。

このままいくと、麻生太郎財務大臣と同じように、財務省に便利に使われる存在になるのかもしれませんね。人気があるだけに、ちょっと心配です。


  1. 自民・小泉進次郎衆院議員ら「こども保険」創設、幼児教育無償化の財源確保提言
    産経新聞 2017/3/29 []
  2. 麻生財務相、こども保険に一定の評価
    TBS系(JNN) 2017/3/31 []

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