子供の教育資金を準備するなら学資保険?| おそらく最悪の選択でしょう

2017年の4月から、生保各社の貯蓄型の生命保険の保険料が値上がりしたのをご存知でしょうか。金融庁が定める標準利率と言うのが1%から0.25%に下がり、それを受けて生命保険の運用利回りである予定利率も下がったことが原因です。

要するに運用する利回りが下がるので、同じ額を貯める場合でも、より多くの保険料が必要になるという事ですね。利息収入が期待しづらくなった分、たくさんの保険料が必要になったと考えても良いでしょう。

日銀の金融政策のために保険料が上がった

これはもちろん、日銀の金融緩和が原因です。10年物の国債でもほとんど金利がつかないので、国債中心で運用している生保会社としては顧客に対して高い金利を約束できないのです。

このような状況ですから、国の政策のために庶民が犠牲になっているというようなことを言う人すらいます。実際野党は、このような批判をしていた時期もありました。

しかし、この批判は的外れです。なぜなら、金融政策と言うのは経済全体を見て行うものですからね。生命保険の保険料を下げるために行うものではありません。

それに、生命保険での貯蓄が不利なら、違う方法を考えても良いんですよね。また、生保会社も、国債以外の運用に切り替えられば良いというだけの話です。

元本割れの学資保険が続出?

さて、生命保険の元本割れについて、少し考えてみましょう。

生命保険のおける元本割れと言うのは、支払った保険料の合計よりも受け取る保険金が小さい事です。例えば、毎年10万円を18年間支払ったとします。その結果、受け取る満期保険金が179万円だったら元本割れということです。

2017年に標準利率が0.25%まで下がったことで、元本割れする学資保険が続出するようになりました。1%の時にも元本割れする学資保険はあったのですが、0.25%まで下がると、元本割れを防ぐのはかなり難しくなってしまうはずです。

金利はプラスなのになぜ元本割れする?

ところで、0.25%という低い金利ながら、一応プラスの標準利率が設定されていますよね。それなのに、元本割れしてしまうのは何故なのでしょうか。ちょっと不思議ではありませんか?

標準利率が0.25%まで下がると学資保険が元本割れするのには、実は2つの理由があります。

保険会社に払う手数料が意外と大きい

一つは、学資保険を含めたすべての生命保険では、保険料を払うと、最初に保険会社が手数料を取るのです。保険会社によって最初に手数料を取られたうえで、残ったお金が運用に回されるわけですね。

この手数料が意外と高いので、運用する利回りが低いと元本割れをすることがあるわけです。学資保険のような積立型の保険だとそこまで大きな手数料ではありませんが、掛け捨てタイプの保険だと保険料の半分が手数料という事もあります。

保険料には死亡保険の分が含まれている

もう一つの理由は、学資保険では父親の死亡に備える保険の機能も必要だからです。

一般的に大学に入る前の子供を持っている人は、その父親はそれほど年齢が高くありません。ですから、この部分の費用はそれ程大きくは無いのですけどね。それでも、一定のコストであることは事実です。

予定利率が下がると元本割れは避けられない

と言うわけで、学資保険を黒字にするためには、保険会社に支払う手数料と父親の死亡保険にかかる費用を上回る運用益が必要になるわけです。しかし、0.25%だとこれらのコストを賄う事は難しいわけですね。

しかも、学資保険の場合は、運用期間は長くても20年程度です。子供が大学に入るまでのお金を貯めるのが学資保険ですからね。

という事は、運用期間を延ばして元本割れを防ぐことも出来ません。ですから、標準利率が下がると元本割れを防ぐことが不可能になってしまうのです。

もちろん、元本割れを防ぐ方法が無いわけではありません。例えば、次のような方法が考えられます。

  • 保険会社の取り分である手数料を小さくする
  • 予定利率を標準利率よりも大きくする
  • 保険料を一時払いにする

元本割れをしていない学資保険は、こういった方法を駆使して保険料の高騰を防いでいるわけです。

元本割れをする貯蓄商品に価値はあるのか?

このように、国債国より市場金利が下がったことにより、元本割れをしない学資保険を探すのが難しくなりました。このことに対して不満を感じている人も少なくないでしょう。

でも、そもそも論として、元本割れをするような貯蓄商品にこだわる必要なんてないはずですよね。と言うのも、金利が低い時期に固定金利の学資保険を使って貯めようとするからうまく貯められないのです。

子供の学費を貯められる商品は、何も学資保険だけではありません。例えば投資信託を積立てたっていいわけです。

「子供の学費を貯めるのは学資保険だ」という変な思い込みを捨てれば、他に選択肢がたくさんあることに気づくはずです。

なぜかは分かりませんが、子供の学費を貯めるのは学資保険だけだと思っている人がいるようです。でも、全くそんなことはありませんからね。根拠のない、変な常識は捨ててしまいましょう。

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