遺族厚生年金には中高齢寡婦加算という加算給付があります。率直に言ってかなりお得な仕組みです。
このページでは、中高齢寡婦加算の概略について見ていきましょう。
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遺族年金は子供が高校を卒業するタイミングが重要
中高齢寡婦加算の話に入る前に、まずは、公的な遺族年金の基本について簡単に確認しておきましょう。遺族年金というのは、被保険者が亡くなった後の遺族への年金のことですね。
機能としては、生命保険の死亡保険と近いものだと考えてください。生命保険も遺族年金も、残された家族への給付という意味では同じものです。
公的な遺族年金には、2つのタイプがあります。遺族基礎年金と遺族厚生年金の2つがあります。
遺族厚生年金は、その名前から、厚生年金の遺族に対する年金であることが分かるでしょう。もう一方の遺族基礎年金というのは、国民年金の遺族年金のことです。
子供のいるサラリーマンが亡くなった場合、通常はこの2つの公的年金を受給する事が出来ます。
しかし遺族基礎年金は、子供が18歳になった後の最初の年度末を迎えると支給が終わってしまいます。一般的には高校を卒業をするタイミグですね。留年でもしていない限りは。
要するに、遺族基礎年金は、子供が高校を出るまではをもらうことが出来るということです。これは裏を返すと、子供が高校を卒業すると、遺族年金が大きく減ることになります。
中高齢寡婦加算とは
しかし、遺族厚生年金をもらっている人は、それほど大きく遺族年金が減額されるわけではありません。というのも、中高齢寡婦加算という形で、遺族年金の額が増えるのです。
中高齢寡婦加算と言うのは、一言でいうと、遺族厚生年金をもらっている未亡人に対する40歳から65歳までの加算のことです。
遺族基礎年金が突然終了してしまうと、生活が苦しくなる家庭もあるでしょう。何せ年間80万円程度は収入が減りますからね。ですから、それをサポートする中高齢寡婦加算が存在するわけです。
中高齢寡婦加算はいつからいつまでもらえる
ちなみに、未亡人の妻が65歳を迎えると、自分の老齢基礎年金がもらえるようになります。そのために、中高齢寡婦加算は65歳までと言うことになっているわけですね。
また、妻が40歳になった時点で18歳未満の子供がいる場合は、遺族基礎年金がもらえます。ですから、このタイミングでは、中高齢加算はありません。
しかし、子供の年齢が上がって遺族基礎年金がもらえなくなると、その後に中高齢寡婦加算がもらえるようになります。つまり、中高齢寡婦加算は遺族厚生年金の上積みという位置づけですが、実態としては遺族基礎年金の代わりの役割を担っているのです。
中高齢寡婦加算はいくら貰えるのか
ちなみに中高齢寡婦加算の額ですが、遺族基礎年金の4分の3にあたる金額です。遺族基礎年金の額は年によって変わりますが、これを書いている時点だとおよそ80万円程度です。
ということは、中高齢寡婦加算は60万円程度だと覚えておくといいでしょう。例えば平成29年だと、年額584,500円ですね。
月々5万円程度の収入になるので、中高齢寡婦加算があるのと無いのでは大違いです。妻が一人暮らしをするのなら、食費くらいにはなりますからね。
「寡婦」って何だ?
ところで、寡婦という単語はなじみがない人が多いと思います。あんまり目にしない単語ですよね。
これは、大辞林によると、「夫と死別または離婚して、再婚しないでいる女性。やもめ。未亡人。」という意味だそうです。つまり中高齢寡婦加算と言うのは、馴染みがある言葉に直すと、中高齢の未亡人に対する加算という意味ですね。
また、「寡婦」が対象の加算という事は、妻を失った夫は対象外だという事です。女性に有利な仕組みになっているわけですね。
年金制度は女性に手厚い部分が多いですが、これもその一つと言えるでしょう。
個人事業主には冷たい公的年金
上に書いた通り、中高齢寡婦加算は遺族厚生年金の上乗せ制度です。ということは、遺族厚生年金をもらえない個人事業主などには関係は無いのです。
個人事業主が亡くなると、高校卒業前の子供がいる場合は、妻は遺族基礎年金だけがもらえます。サラリーマンのように、遺族厚生年金はもらえません。
これだけでも、個人事業主はかなり不利な事がわかります。しかも、これだけでなく、子供が高校を卒業してしまうと、妻は遺族年金が全くもらえなくなってしまうのです。
率直に言って、個人事業主の妻に対して、ちょっと冷たすぎる感じはしませんか。もちろん、支払っている保険料が安いから仕方がない部分は有るのですが、子供が成長すると何ももらえなくなるっていうのはかなり残酷だと思うのです。
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