弁護士ドットコムというところの記事で、ちょっと興味深い裁判が紹介されていました。公的な遺族年金が誰に支払われるのかという話です。1
生命保険と関係がある話なので、ここでもご紹介しましょう。ちなみに、まだ高裁の判決が出たところなので、最終的にどうなるのかは、一応わかっていません。
裁判の概要
まず、この裁判に出てくるのは、次の4者です。
- 夫
- 本妻
- 不倫相手(週刊誌的に書くと)
- 国
事の発端は、この夫が亡くなったことでした。このとき、不倫相手は、遺族厚生年金の受給を請求したわけです。
しかし国は、これを不支給としました。本来なら遺族年金は、妻が受け取るはずですから。妻が生きているので、これ自体は不思議ではありません。
これに対して不倫相手は、国を相手取って裁判を起こしたわけです。そして、一審、二審ともに不倫相手が勝訴したという流れです。つまり、不倫相手に遺族年金を払うべきだという判決を出したのです。
事実上の妻なら遺族年金が支払われる
このような判決が出た理由は、戸籍はどうあれ、事実上の妻なら遺族年金を受給できるというルールがあるからです。
実際は一緒に生活をしていても、籍を入れていないケースだってまれに存在しますよね。そういうケースでも不利な扱いを受けないようになっているのです。
しかし、この場合は、本妻が存命で籍も抜いていません。それでも浮気相手を受給者にしろと判決を出したわけですね。
こういう判決が出た裏には、実体として夫と本妻との関係が切れていて、夫と生活をしていた浮気相手が事実上の妻と認められたという事情があります。つまり、裁判所がどっちが実態としての妻かを決める裁判だったという事も言えるかもしれません。
このあたりが国と見解が違ったところなのでしょう。国が最初に不支給とした理由は「男性と本妻との婚姻関係が形骸化していたとはいえない」ですから。
こういうケースって、籍が入っている本妻の方が強いはずなんですけどね。
本妻が捨てられた可能性もあるのかな?
まあ、今回のケースは、記事で読むだけではちょっと判断がつかない部分もあります。妻と夫はどのような形で別居するに至ったのかというような経緯が不明なんですよね。
可能性としては、一方的に夫が本妻を捨てて、不倫相手と生活を始めたという事もありうるわけです。もしそうだとすると、本妻としては夫に逃げられた上に遺族年金ももらえなかったことになるわけですね。かなり悲惨な状況も想像できます。
以前、夫の死亡の心配よりも、夫との離婚の方が現実的な脅威だと書いたことがあります。2 ですから、生命保険に入る価値は思ったほど大きくないというようなことを書きました。それよりも、夫との離婚を心配してくださいと。
このケースもそれに近いですよね。法律上の離婚はしていませんが、それに近い状態だとみなされて、遺族年金が受給できなくなったわけですから。
やっぱり、夫の死亡以上に、夫の人間関係の方を心配した方が良いのかもしれませんね。しみじみそう思わされるような記事でした。
- 長年連れ添った「内縁の妻」に遺族年金の支給認める判決…「本妻」はもらえないの?(弁護士ドットコム)2017年11月22日 [↩]
- ■ 夫の死亡を心配するより離婚を心配するほうがリアル [↩]
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