あまり知られていませんが、生命保険は割高な商品です。どのように割高かというと、私たちが受け取る可能性がある保険金に対して、保険料が高すぎるという意味で割高なのです。
過去の死亡などの確率から、将来私たちが保険金をいくら受け取れるかというのは、確率的に計算することが出来ます。その計算から判断すると、「どう考えても保険料を払い過ぎだろう」としか言えないわけですね。
生命保険会社の保険料はどうして高くなる
それでは、生命保険会社の保険料は、どうして高くなりすぎるのでしょうか。実は、これの答えはとても簡単です。生命保険会社が取る手数料が高すぎるので、保険料が高くなるのです。
専門的な話をすると、生命保険の保険料というのは、純保険料と付加保険料に分けられます。純保険料というのは、将来の保険金に充てられるお金です。
そして、付加保険料は保険会社に支払われる手数料なのです。もっと直接的な言い方をしてしまうと、生命保険会社の取り分の事です。
生命保険会社は営利企業ですから、彼らの取り分があるのは当然です。従業員の給料も払わないといけませんし、立地のいい場所に大きなビルも建てないといけません。
付加保険料が発生するのは仕方が無いのですが、それでも、「ちょっと取りすぎなんじゃないの?」という感じがするわけですね。
保険の金の流れ
さて、手数料である付加保険料について、掛捨て保険のお金の流れを踏まえて確認しておきましょう。掛捨て保険のお金の流れについては、次のように理解している人が多いでしょう。
- 多くの人からお金を集める
- 事故があった人にお金を配る
大体こういう考え方で正しいのですが、民間の保険の場合だともう一つステップが加わります。それは、保険会社が手数料を抜くというステップです。
つまり、掛捨ての保険は次のようなお金の流れになっているのです。
- 多くの人からお金を集める
- 保険会社が手数料(付加保険料)を抜く
- 事故があった人にお金を配る
そして、基本的には次のような関係が成り立ちます。
契約者から集めた保険料 = 保険会社に払う付加保険料 + 保険事故にあった人に払うお金
保険料が割高であることを知るためには、この関係を理解しておくことが大事なのです。
手数料が高かったら契約なんてしたくない
さて、私たちにとっての有利不利を判断するのは、保険会社が受け取る手数料(付加保険料)で決まります。
まず、手数料がゼロだったら、人々から集めたお金 = 事故にあった人に払うお金となりますよね。ということは、契約者全体で見たら損でも得でもありません。
みんなで集めたお金を、困っている人に渡す。保険の本来あるべき形ですよね。
これは逆に言うと、少しでも手数料を取られたら、トータルで見て契約者にとって不利なのです。
もちろん、支払ったお金と戻ってくるお金を比べて、多少不利なのは仕方がありません。万が一のときの経済的なピンチに備えられるのですから、多少の手数料を払う価値はあるでしょう。
しかし、手数料が高すぎるとしたらどうでしょうか?例えば、保険料の5割が手数料だったら、ちょっと馬鹿馬鹿しいと思いませんか?
全て解約してしまわないまでも、可能な限り契約を縮小しようと考えますよね。
生命保険は契約者にこんなに不利
さて、実際の掛捨ての生命保険の手数料はどの程度なのでしょうか?実は、驚くべき事に、実際に5割以上の手数料を取られるケースもあるようです。
例えば、ライフネット生命の資料によると、51%が付加保険料であるケースもあるのだとか。安い場合でも、18%は付加保険料で取られるようですね。
http://www.lifenet-seimei.co.jp/newsrelease/2008/1304.html
ライフネット生命というのは、手数料が安いことで知られるネット専業の保険会社です。その保険会社ですら、これだけの手数料を取らないとやっていけないわけです。
もっと高コストな他の保険会社だったら、更に高い手数料を取っているはずです。生命保険というのは、これだけ高コストな商品だという事です。
他の保険会社が付加保険料をたくさん取っていることを確認するのは簡単です。シンプルな保障の保険で見積もりを取ってみれば良いのです。そうすると、保険会社によって保険料がずいぶん違うのが分かるでしょう。この保険料の違いこそが保険会社ごとの付加保険料の差なのです。
不利な契約は必要最小限に
この手数料の高さから分かるように、生命保険というのは高コストで契約者に不利な商品です。1 はっきり言って、避けられるものなら避けた方が良い商品と言って良いでしょう。
これは貯蓄性の高い保険でも同じ事です。
養老保険や学資保険、個人年金保険などは一定の人気がある商品です。でも、掛け捨て保険同様、かなりの手数料を取られています。
さすがに貯蓄性の高い保険で5割の手数料を取るようなことはしませんが、投資信託などと比べたら割高と考えて良いでしょう。資産運用のための商品としたら、落第です。生命保険料控除を考慮しても、まだ投資信託の方が良いと思われます。
もちろん必要な保険なら、多少手数料が高くても契約しないといけません。ただ、生命保険というのはこういう商品なので、可能な限り小さい契約にすべきなのです。
でも、この手数料のからくりを知らないと、安心のために少しでも大きい保険にしようと思ってしまう人がいるんですよね。本当は、大きな保険にすることで余分にかかる保険料を、投資信託などの運用に回した方が良いんですけどね。
このような事情があるので、契約前には慎重に考えることをおすすめします。既に契約している場合は、見直しも視野に入れるべきでしょう。
- ちなみに、生命保険は損害保険と比べても割高かもしれません。詳しくは「消費者には自動車保険は得で生命保険は損って事だ」をご覧ください。 [↩]
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