生命保険は色々と問題が多い仕組みですが、相続の時には大きな力を発揮します。相続税の節税目的にも使えますし、被相続人(亡くなった人)が財産を渡したい相手に、直接お金を渡せるという効果もあります。また、現金が渡ることになるので、相続税の納付がしやすいというメリットもあります。
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生命保険は通常はあまりお勧めしない
このサイトで繰り返し書いていますが、私個人としては、生命保険というのはあまり好きな金融商品ではありません。付加保険料という保険料の手数料部分が高いので、契約者にとって不利な事が多いからです。
しかも、手数料が明示されていないんですよね。保険料のうちの何パーセント、あるいは何十パーセントが手数料なのか分からないまま契約しないといけないのです。
他の金融商品だと、手数料は明確になっている事が多いです。例えば投資信託の場合、販売手数料と信託報酬という手数料が取られるのですが、目論見書などをちゃんと読むとこの金額が明らかになっているわけです。
このような理由で生命保険はあまりお勧めしないのです。出来れば避けておいた方がいいものだと思っているわけです。
しかし、それでも明らかに生命保険が役に立つというケースが2つあります。
生命保険が使えるのは次の2つのケース
一つは、一家の中で一番稼ぐ人(通常は夫)の死亡に備えるケースです。
夫が若いうちに亡くなると、残された家族は経済的に困ってしまいます。それに対して備えるために、生命保険に入るわけですね。
このケースでも、必要以上に高い保険金額を用意するは良くないと思っています。ただ、適切な保険金額の保険なら、入っておいた方が良いでしょう。
まあ、これが生命保険の一番代表的な使われ方ですね。
もう一つはここで紹介する、相続対策としての生命保険です。実は、生命保険というのは、相続の時に力を発揮するものなのです。
生命保険を使った節税というと、所得税の生命保険料控除を思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、相続税の節税の効果は生命保険料控除とはけた違いにすごいのです。まあ、ある程度の資産を持っている人に限られる話ではありますが。
具体的にどの程度の節税ができるのでしょうか
それでは、生命保険を使うと、どの程度の相続税の節税ができるのでしょうか。
実は、これに関しては、ケースバイケースです。率直に言って、答えるのが難しいところがあります。そこで、簡単なケースを設定して、例示してみることにしましょう。
Aさんはすでに妻を亡くしていますが、息子が1人と娘が2人がいます(3人とも存命)。また、Aさんは保険金額3,000万円の死亡保険金に入っていたとしましょう。受取人は長男としておきましょうか。
さて、このAさんが亡くなったとします。このとき相続税の税率は20%だったとしましょう。この場合、生命保険に入ったことで、いくら節税できたのでしょうか。
相続税には死亡保険金の非課税枠が存在します。非課税限度額の分までの生命保険の保険金は、相続が無かったものとみなされて相続税が計算されるのです。ようするに、節税できる制度があるわけです。
そして、非課税限度額の計算式は、次のようになっています。
500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額
Aさんの場合は法定相続人が子供3人なので、非課税限度額は1,500万円となります。つまり、死亡保険金3,000万円のうちの1,500万円は、相続税がかからないわけです。
税率が20%だったわけですから、1,500万円の20%で300万円の節税になっています。300万円も税金が減るとなると、結構大きいですよね。
一応補足しておきますと、この計算は厳密性を書いている部分があります。大体の金額のイメージをつかんでもらうためのものですから、ご理解ください。制約にやりすぎると、話が複雑になって、混乱してしまう人も出てくるでしょうから。
相続する資産が増えるか法廷相続人が増えればより大きな節約ができる
ちなみに、相続税の税率は相続する資産での額に依存します。
例えば、超がつくような大金持ちで、100憶円の預貯金を相続するようなケースを考えてみましょう。この場合は、相続税の税率は55%にもなります。半分以上を税金として取られるわけです。
ということは、相続する資産が大きい場合は、生命保険の節税の効果も大きくなるわけです。さっきのように子供が3人いるとしたら、1,500万円の55%で825万円の節税ができるのです。
100憶円の預貯金があるような場合だと、数百万円単位で節税したところで、焼け石に水だとは思いますけどね。でも、額としては結構な額ですよね。大卒の新入社員なら4人分の年収くらいです。
まあ、仕組み上は、相続する財産が大きいと、節税の額が大きくなるという事です。
また、死亡保険金の非課税限度額の計算式からわかるように、法定相続人の数が増えると非課税限度額も増えます。奥さんの数は1人以上増やしようが無いですが、子供の数はある程度までは増やせますね。子だくさんなら生命保険で節税できる額も大きくなるわけです。
まあ、この場合は、節税したところで財産を分け合う相手がたくさんいますから、一人一人の受け取る金額はそれ程大きくないかもしれませんけど。
高齢者でも生命保険に入れるのか?
生命保険で相続税の節税ができるのは分かりました。しかし、ここで、別の疑問が浮かんできます。高齢者や健康状態が悪い人は生命保険には入れないという問題です。
相続のために生命保険を利用するということは、被保険者は自分が亡くなることを意識しているという事ですよね。おそらく、年齢が高いか、健康状態が悪いか、どちらかの状態にあるはずです。
でも、生命保険って、一般的には、健康な人しか入れないものですよね。だとしたら、生命保険を使って節税をするという作戦は絵に描いた餅になってしまいます。
実は、この点は問題無いのです。一時払いといって、一番最初にすべての保険料を支払ってしまう場合は、多少問題があっても入れるケースがあるのです。つまり、年齢が高くても健康状態が悪くても、保険に入れるわけですね。
もちろん、年齢が高いか健康状態に問題があるかなので、こういう保険に入ったからといって、そんなにお金が増えることは期待できません。ただ、もともと、保険でお金を増やそうと思っているわけではありません。節税のために保険契約さえできれば、全く問題ありません。
節税だけではないメリット
ちなみに、生命保険に入っておくメリットは節税だけではありません。生命保険には受取人を指定できるというメリットがあります。
これは、遺産の分割でもめないようにするためには便利ですよね。受取人がはっきりしているので、他の人が手を出しにくくなります。必ず渡したい人の手に、お金が渡りますからね。
また、生命保険の死亡保険金は、銀行預金と違って、割と早く支払われるのだそうです。銀行預金だと、相続人の合意がないと引き出せなかったりするんですよね。銀行も相続の連絡があると、入出金を出来なくしてしまいますし。
さらに、生命保険の死亡保険金なら、現金で受け取れるというのも大きいのです。
例えば、亡くなった人の財産が今住んでいる自宅しかないとします。これを3人の子供で分けるとなると、かなり難しいことになりますよね。生命保険の死亡保険金で現金が用意してあれば、こんな時でも対処しやすいでしょう。
また、相続税は現金で納付するのが基本ですからね。税金を納めやすくするという意味でも、生命保険の保険金というのは貴重なのです。
このように、相続というシーンでは大活躍するのが生命保険です。
終身保険を選ぶのが基本でしょうか
ちなみに、死亡保険の生命保険といっても、種類は色々とあります。具体的にどのタイプを選ぶと良いのでしょうか。
とりあえず、一番わかりやすいのは終身保険でしょうかね。終身保険というのは、解約しない限り、一生保障が続く保険です。そして、相続税の節税のために保険に入るのであれば、死ぬまで保障が必要なわけですよね。となると、終身保険を選ぶのが妥当だろうという話になるわけです。
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