相続対策として生命保険に入るのは賢い選択です。生命保険に入っていると相続税が安くなったり、相続税が発生しなくなることがあるからです。
とは言え、生命保険には様々なタイプが存在します。いったいどれを選べばいいのでしょう。
終身保険でしょうか、養老保険でしょうか。個人的には、ちょっと意外なところで、変額保険(終身型)をお勧めします。
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相続対策は生命保険の重要機能の一つ
別のページで書いたことがありますが、生命保険の使い方として正しいのは次の2つです。
- 一家で一番稼ぎがある人(一般的には夫)の死亡に備えるために、定期保険に入る
- 相続税対策として貯蓄性の高い保険に入ること
率直に言って、これ以外の目的では、生命保険を使うメリットは大きくありません。違う金融商品を使った方がマシというケースが多いでしょう。特に、医療保険なんて論外です。
この2つの他にも、テクニカルな使い方で、便利に使う事が出来るケースもあるのかもしれません。ただ、基本としてはこの2つだけ覚えておけば大丈夫です。
このページでは、2つ目の相続税対策についてちょっと考えてみましょう。
生命保険の中でどの保険を利用したらいいのだろう
さて、相続税対策として生命保険に入るのが合理的だとして。具体的にどの保険に入れば良いのかという問題もあります。一口に生命保険と言っても、種類はたくさんありますからね。
ネットを見ていると相続税対策に養老保険を勧められたとか、終身保険に入ったとかいった記述をみつけます。いったいどんな保険に入るのが正しいのでしょうか。
ネットで名前が挙がる、終身保険とか養老保険というのが一般的なのでしょうか。でも、個人的には変額保険(終身型)を選ぶのがいいのではないかとも思います。
相続税対策で求められる条件
さて、生命保険を相続で使う場合は、どんな条件が求められるのでしょうか。まず、ここから考えてみましょう。
どのくらいの死亡保険金が必要か
相続税対策で生命保険が使われる理由は、生命保険には非課税枠があるからです。一定額までは生命保険の死亡保険を遺族が受け取っても、相続税の課税対象にならないのです。
具体的には、「法定相続人の人数×500万円」という非課税枠があります。法定相続人1人につき500万円ということですね。
ということは、例えば2,000万円の生命保険がかかっている人に3人の法定相続人がいたとします。このケースだと、仮にこの人が亡くなった場合には、生命保険としては500万円しか相続していないことになるのです。
もしこの人がほかの資産も持っていて、相続税がかかるような場合は、「1,500万円×相続税率」の分だけ節税ができるという事です。税率は控除後の資産によって変動しますが、仮に30%の税率だとすると450万円の節税ができることになるわけですね。1
相続税はこういう仕組みなので、1つ目に次の条件が挙がるでしょう。
- 法定相続人の人数×500万円より大きい死亡保険金額の保険契約を選ぶ
死ぬまで入ることが出来る保険
2つ目の条件は、死ぬまで入ることが出来る保険である必要があるという事です。
相続税の減税という事は、相続が発生するタイミングで保険金を貰う必要があるわけです。ということは、亡くなる前に保険の契約が終わったら意味がないわけです。
この条件を満たすとなると、例えば養老保険は条件から外れるでしょう。養老保険というのは満期があって、満期を迎えると満期保険金というお金が支払われて保険契約が終了してしまいますから。
満期日の前に亡くなれば死亡保険金が支払われるのですが、必ずしもそうなるとは限らないわけです。
あと、定期保険もこれが条件でダメという事になりますね。なにせ、保険期間が決まっているからこその定期保険ですから。
定期保険の場合は、長期平準定期保険といって、契約期間を非常に長くして実質的に終身保険のようにできるケースもあるのですけどね。それでも、それを超えて生きるようなケースも全くないとは言い切れません。
このように、契約期間があらかじめ決まっている保険はダメという事になります。変な言い方ですが、長生きがリスクになってしまうわけですね。
- 亡くなるまで保険の契約が続く保険を選ぶ必要がある
高い年齢でも契約できる
相続の準備をし始めるということは、比較的高い年齢であると考えられます。さすがに20歳代とか30歳代で相続の準備をする人は少ないでしょうから。
という事は、ある程度高い年齢でも契約できる保険でないといけません。可能であれば70歳以上で契約できると望ましいですね。
そこで調べてみましたが、年齢が高くても契約できる保険は結構ありそうです。例えばアフラックの終身保険は満80歳まで契約ができるようです。
Q4:<アフラックの終身保険>は、何歳から何歳まで入れる保険ですか?
A4:契約日における年齢が、満3歳以上満80歳までの方がご契約いただけます。
変額保険は終身保険と比べると、年齢の上限が低いことが多いようですね。例えば、ソニー生命のバリアブル・ライフという保険だと、68歳までしか契約ができないようです。
ただ、何歳まで契約できるかは、保険会社によってまちまちですので、注意が必要です。可能でしたら、早めに契約をした方が確実かもしれません。
- 高い年齢でも契約できる保険を選ぶのが望ましい
インフレに強い保険
最後に、もう一つ条件として挙げたいのが、インフレに強い保険が良いというポイントです。
これは非常に大切なポイントだと思うんですけどね。相続税対策に保険を使う事を勧めている人でも、この点に触れている人が少ないのは意外です。
これを書いている時点だと、国債の金利が低いために、予定利率が低くなっています。ですから、固定金利型の終身保険などを買ってもほとんど増やすことはできません。
相続税対策用として保険に入る場合は、それほど利殖は考える必要がありません。増やすことよりも節税することの方が大事だからです。
しかし、仮に長生きをした場合、10年20年と置いておいても、全く増えないのでは問題と言えるでしょう。インフレが起こり、実質で見ると資産が減ることになる可能性もあるのです。
例えば、年金の受給が始まる65歳で契約をして、85歳の段階でまだ存命だとしましょう。最近の日本だと、決して珍しい話ではありませんよね。
今の時期2 に終身保険の契約をしたとすると、固定金利で契約することになりますから、ほとんど増えていないでしょう。
その期間に国債金利が上がり、年5%程度の金利がつくのが普通になっていることだってあり得ます。なにせ10年とか20年先の話ですからね。
あるいは、毎年インフレが起こり、なるなるまでに物価が30%上がるかもしれません。10年とか20年という期間を考えていますから、これだった十分にあり得るシナリオです。場合によってはさらに大きく物価が上がっている可能性もあります。
こういうケースに備えるには、終身保険などの金利固定型の保険では難しくなるわけです。
という事で、長生きするというリスクとインフレのリスクを考えると、現状では変額保険に入るのがベストではないかと思います。金融の常識からすると、こう考えるのが自然なんですけどね。
なかなか保険関係の人には伝わらず、歯がゆい感じがします。損をするリスクばかりが気になるようなのです。
インフレで目減りする方が、より大きなリスクなのですけどねえ。分かってもらえません。理屈上は分かるけど、それでも実際のお金が減るリスクの方が嫌という人もいますね。
- インフレを考えたら変額保険
金融的な常識で考えると変額保険
ここまで見てきたように、金融的な常識で考えると、相続税対策には変額保険(終身型)を使うべきです。
一般的に勧められる終身保険だと、長生きした時のインフレリスクに対応できないのです。実質的には大きく資産を減らすリスクがあるわけですね。
しかしながら、最近は変額保険を取り扱う生保会社がかなり少ないようなのです。変額年金保険の扱いは、数社程度に減っているという印象です。あるいは、扱いがっても外貨建ての保険だったりします。3
円建ての変額終身保険でいうと、ソニー生命保険とプルデンシャル生命保険くらいでしょうか。他にもあるのかなあ。
そして、上にも書きましたが、契約できる年齢の上限が終身保険と比べて低いようです。ですから、ある程度の年齢になるまでに入らないと、変額保険に入る事すらできません。
こういう事情があるので、年齢的に変額保険に入れないのなら終身保険に入るしかないでしょう。可能なら変額保険に入りましょう。
入れないものは仕方がありませんからね。
- 相続税対策は変額保険(終身型)をお勧めします。しかし、年齢的に入れない時などは、終身保険をご利用ください。
- この計算は厳密に言うとちょっと簡略化した部分があります。まあ、おおよそのイメージをつかんでもらうためですので、これで理解しておいてください。 [↩]
- 2017年12月現在 [↩]
- また筋が悪い商品を開発するものです。 [↩]
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