最近、銀行は、一時払いの外貨建て終身保険の販売に力をいれいてるようです。この保険のメリットとデメリットを考えてみましたが、デメリットばかりが思い浮かびメリットが出てきません。率直に言って、何でこんな保険を売るのだろうと思ってしまいます。
やっぱり、預金者の利益よりも事項の利益が優先なのでしょうかね。元本割れが起こって、トラブルにもなっているようですね。
前のページで書いたように、銀行では最近は外貨建ての一時払終身保険が流行っているようです。1 みずほ銀行一行を調べただけでも、何社もの保険会社で外貨建ての終身保険の扱いがありました。
しかも、扱う外貨は米ドル、ユーロ、豪ドル、ニュージーランドドルの4つのうちのいずれかに絞られます。似たような商品がたくさん置かれているわけです。もう、この時点で意味が分からないんですけどね。
そして、これを書いている時点ではユーロは扱われていないようですね。金利が低すぎて、メリットが無いと判断されたのでしょう。
ちなみに、変額保険タイプのものもその外貨での固定金利タイプのものもあるようです。固定金利タイプの物の方が多いかな。
Contents
変額保険と何が違うわけ?
繰り返しますが、これらの終身保険の多くは最初に予定利率を決める固定型の終身保険です。日本円建ての終身保険と違い、10年くらいで予定利率の見直しがあるケースもあるようですけどね。まあ、大体同じものです。
ただ、あくまで、外貨に対しての固定された予定利率という事なんですよね。つまり、いくら金利を固定しようと、日本円で日常生活を送る環境にある限り、為替変動の影響は受けてしまうという事です。
これって、変額保険と何が違うのでしょうか。私には違いが全く分かりません。単に、豪ドルなら豪ドル、米ドルなら米ドルで見て定額保険って事ですからね。何か、言葉のマジックに騙されているような気がしてなりません。そう思いませんか?
これだったら、株式やREIT などに分散投資できる分、変額保険の終身型を利用した方が賢いはずです。あるいは、特に保険である必要がなければ、投資信託を買ってしまうかですね。
まあ、でも、みずほだけで何本も外貨建ての終身保険が売られているのを見ると、多分結構売れているのでしょうね。一般の契約者は、そこまで深く考えずにイメージで選ぶのかもしれません。
外貨預金建てというと、外貨預金のイメージで選ぶ人が多そうですからね。外貨預金だと、これまた不思議な事に、リスクが低いようなイメージを持っている人も多いようですから。本来は、ハイリスク・ローリターンの最悪の商品なのですけどね。
アベノミクスの初期に何が起こったか思い出してみよう
なぜだか分かりませんが、一般の人の多くは、外貨預金のリスクを過剰に小さく見積もっているようです。でも、実際は、かなりリスクが大きい商品なのです。
これは、第二次安倍内閣誕生前後を思い出していただければわかるのではないでしょうか。野田政権の末期から安倍政権の初期にかけて、米ドル/円のレートは1ドル80円から120円まで動きました。
円の価値が3分のになったという事ですね。あるいは、ドルの価値が1.5倍になったと言っても良いですけど。
このくらい為替レートが動くという事は、保険で例えるとどうなるでしょうか。例えば、600万円の終身保険に入ていた場合、その保険が1年くらいの期間で400万円まで価値が減ってしまう可能性があるという事です。
あるいは逆に、1年で600万円が900万円になる可能性もあるという事ですけどね。どちらにしても、かなりのハイリスクな商品であるのは確実です。
もう一つ重要なのは、比較的変動が小さい米ドル/円のレートでもこれだけ大きく動くことがあるという事です。豪ドルの場合はさらに大きな為替の変動を覚悟しないといけません。
こんなギャンブル見たな商品に、何百万円も使って平気なのでしょうか。ちゃんとわかっていれば、戸惑うレベルだと思うのですけど。
保険にすると分散投資が出来ないんだよね
上に書いたように、外貨建ての終身保険は、変額保険と似たようなものと言えます。ただ、通常の変額保険よりも不利な点もあります。
具体的に何が不利かというと、分散投資ができないというところです。結局、一時払いの終身保険って、その通貨の国の国債や定期預金を買って持っているようなものなんですよね。
なぜかというと、終身保険の予定利率は、通貨発行国の契約時点の国債の金利で決まりますから。
円建ての終身保険を買うのも分散投資はできていませんが、実はこれは金融的に見れば問題は小さいのです。なぜなら、日本国債は無リスクなので、分散投資が出来ている必要は無いからです。まあ、手数料が高かったりと、違う問題はあるのですけど。
ただ、外貨建ての場合は話が違います。その通貨ベースで見れば同じく無リスクですが、日本円で見ると為替リスクがあるわけですね。このリスクを減らすための工夫が無くて大丈夫かという話になるわけです。
ポイントを簡単におさらい
最後に、ポイントを簡単におさらいしておきましょう。
外貨建ての終身保険は、あくまで外貨ベースで見た時に予定利率が決まっているにすぎません。日本円で見たら、為替の変動が発生するのです。
その意味では、外貨建て終身保険は変額保険の一種だと理解した方がイメージしやすいでしょう。そして、分散投資が出来ないので、通常の変額保険と比べると不利だと言えます。また、為替リスクがあるので、円建ての終身保険と比べても不利です。
まあ、要するに、「必要がなければ止めておきなさい」という感じの保険です。別に、豪ドルや米ドルの金融商品が悪いとは言いませんが、生命保険の一点買いは論外なのです。
補足:やっぱりトラブルになっているようです
このページと前のページで紹介した外貨建て終身保険は、やっぱりトラブルに成っているようですね。まあ、そりゃ、トラブルは起こるでしょうね。2
最近は投資信託や外貨預金は元本割れのリスクがあるというのは、だいぶ定着している印象です。しかし、貯蓄型の保険に関しては、まだそこまで認識が広がっていないでしょうからね。
ちゃんと理解しないままに契約したら、元本割れをした時に、「こんなはずじゃなかった」と思うはずです。
銀行としては、相手が理解しているかどうかを判断するのは難しいでしょう。それに相手が自分で分かっているというのなら、売るのを止める理由もありません。営業成績に直結しますから、躊躇なく売ってしまうでしょう。
悪質な人だと、分かっていないと思われる人を狙って売ってみたりという事もありそうですね。まあ、過去に別の商品で起こったことが、繰り返されているだけです。
また、終身保険という名称から、元本保証を想像したのかもしれませんね。一時払いの終身保険なら、よっぽどのことが無い限り元本割れは無いでしょうから。買ってすぐ解約するなんてことをしない限りは、大丈夫でしょう。
まあ、何にしても、起こるべくして起こっているトラブルという感じがします。こういう保険を理解していない人に売る銀行にも疑問は感じますし、うかつに契約してしまう人にも問題が無いとは言い切れないでしょう。
まあ、もうちょっと被害者が出れば、だんだん周知されて問題は解決していくことでしょうね。まあ、そのころには、別の分かりづらい金融商品が流行るんですけど。
- ■ 最近、外貨建変額保険が流行っているらしい| みずほ銀行の一時払い終身保険を調べてみた [↩]
- 「元本減った」高齢者トラブル絶えず 銀行窓口販売の「外貨建て保険」
産経新聞 1/20(土) 9:30配信 [↩]
スポンサードリンク
専門家の意見を聞いてみよう!
生命保険や医療保険についてプロの意見を聞いてみませんか?保険マンモスなら、生命保険の無料相談が出来ます。
保険のプロが複数の保険会社の商品の中からベストの商品を紹介してもらえます。初めての保険選びと言う人も、保険の見直しと言う人も、試してみてください。

スポンサードリンク
タグ: ニュージーランドドル, 外貨建て, 米ドル, 豪ドル