サラリーマンの夫が亡くなると、残された妻や子供は遺族年金を受給します。夫が亡くなっても、生活費の一部は年金で支払われるわけです。
それでは、夫をなくした妻が再婚した場合はどうなるのでしょうか。今回は、特に、遺族厚生年金についてチェックしてみることにしましょう。
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妻子がいるAさんが亡くなった場合の、遺族厚生年金の受給権
まず、次のような状況を考えてみましょう。
会社員のAさんには、妻Bさんと、AさんBさんの子供のCさんがいます。Cさんの年齢は6歳としておきましょうか。
ある時、交通事故が発生して、その事故でAさんは亡くなってしまいました。このとき、遺族厚生年金は誰に支払われるのでしょうか。
遺族厚生年金とは
最初に、遺族厚生年金について簡単に確認しておきましょう。
公的な遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2つがあります。サラリーマンの場合は、原則として遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受給できます。
その一方で、自営業者等の場合は、遺族基礎年金しか受給する事ができないケースも多いです。長期要件というのに該当すると、受給できるようになるのですけどね。それを満たしていない人は、受給が出来ないわけです。
今回は、遺族年金のうちの、遺族厚生年金のみを考えてみることにします。
妻子がいる場合は子供の受給権は停止
Aさんの死亡で遺族年金が支払われる時、誰が受給権を持つのでしょうか。
実はこのケースでは、法律上は、妻Bさんと子供Cさんに同時に受給権が発生します。しかし、妻Bさんが受給権を有している間は、Cさんの受給権は停止されるというルールになっています。
結局、遺族厚生年金は、妻のBさんが受給することになります。
Cさんは受給権を持っているけど、停止されているということですね。実はここが、意外と大事なポイントです。何が大事かは、後述します。
厚生年金保険法に書かれています
とりあえずの理解としては、妻が生きている場合は妻が遺族厚生年金を受給するというふうに捉えておけばいいでしょう。
根拠となるのは、厚生年金保険法の次の条文です。
第六十六条 子に対する遺族厚生年金は、配偶者が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給を停止する。ただし、配偶者に対する遺族厚生年金が前条本文、次項本文又は次条の規定によりその支給を停止されている間は、この限りでない。
確かに、法律にも書かれていますね。
妻Bさんが結婚したらどうなる
さて、事故から5年が経ち、妻Bさんが再婚する事になりました。子供のCさんは11歳ということですね。
この場合の年金の受給権はどうなるのでしょうか。
妻が再婚すると妻は受給権を失う
妻が再婚すると、妻は遺族厚生年金の受給権を失います。次の厚生年金保険法の条文が根拠です。
第六十三条 遺族厚生年金の受給権は、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。
一 死亡したとき。
二 婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。)をしたとき。
(後略)
亡くなった時に受給権が消滅するのは当然ですね。それ以外に、今回のケースのように、再婚をすると妻は受給権を失います。
子供の受給権の停止が解除される
さて、妻が受給権を失うとどうなるかと言うと、子供の受給権の停止が解除されることになります。ということは、妻が再婚しても子供が遺族年金を受け取ることは出来るわけです。
ただ、子供が遺族厚生年金を受給できるのは、18歳の3月までです。再婚が無ければ妻が生きている限りはもらえていた可能性が大きいので、条件としては不利になっていると言っていいでしょう。
つまり、今回のケースだと、Cさんが成長して高校卒業を迎えると、遺族厚生年金の受給権が消滅するということです。
Bさんが再婚しなければ、Cさんの高校卒業で遺族厚生年金の受給権が無くなるという事はありませんでした。つまり再婚は、経済的に見ると、ちょっと不利に作用するわけです。
まあ、再婚の経済的なメリットは年金だけではありませんけどね。ちょっと知っておいてもいい事柄であるのは間違いないでしょう。
中高齢寡婦加算にも影響が
また、妻が再婚すると、中高齢寡婦加算にも影響がでます。中高齢寡婦加算というのは、子供が成長して遺族基礎年金がもらえなくなった後に、妻が受給できる遺族厚生年金の上乗せ的な年金です。
Bさんのケースだと、Bさんは再婚で遺族厚生年金の受給権を失いますから、中高齢寡婦加算も受給できなくなるのです。
この影響も小さくはないでしょう。というか、遺族厚生年金よりも中高齢寡婦加算のほうが金額的には影響は大きいかもしれません。
ということで、再婚をするというのは、金銭的なマイナスも伴うわけです。再婚相手の稼ぎにもよりますが、再婚したら逆に経済的に苦しくなったというようなことも考えられなくはありません。
再婚する際には専門家に聞いてみると良いでしょう
ここまで色々と説明して来ましたが、率直に言ってかなりややこしいですね。年金に詳しくない人が読んで、簡単に理解できるとは思えません。
私の文章力の無さも原因なのですが、単純にそれだけではありません。
公的年金の仕組みが複雑なので、予備知識のない人に説明するのがかなり困難なのです。
自分に関係があると思えば、年金に詳しい人に相談した方が確実かもしれませんね。お金の話は嫌らしいものですが、その後の生活に影響するのも事実ですからね。
しっかりと確認しておくべきでしょう。
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