公的年金の説明に関しは、嘘が多いようです。いわゆる専門家の説明でも、間違っていたり説明が不十分だったりする事が珍しくありません。
その一方で、公的機関が出してくる情報は、私たちには理解しづらいものが多いようです。専門用語を使って説明しているので、素人には理解できません。
遺族厚生年金の長期要件を例に、どうしてそんな事が起こるのかを考えてみましょう。
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ちまたに溢れる公的年金の情報は間違いが多い
インターネットで公的年金について調べていると、時々間違いを見つけることがあります。一般のサイトだけではなく、大手の新聞でも細かい部分が間違っていたりします。
もちろん他の分野でも、ネット情報では間違いをよく見つける事があります。ただ、年金に関しては特に多いという感じでしょうかね。
その間違いのタイプも様々です。明らかな間違いということもありますし、説明不足で正確でないというケースも見受けられます。
年金は特に酷い
年金に限らず、金融の分野でも、この手の間違いはよく見かけます。金融でよく見るのは、何かをちょっと読んで理解したつもりになっている人が、自信満々で間違った解説をしているという感じが多いでしょうあ。
これらの分野に限らず、インターネットの情報は玉石混交です。ただ、公的年金に関しては、他の分野と比較しても特に酷い印象なのです。
どのくらい酷いのかというと、専門家を謳った人の解説でも間違っている事が多々あるほどです。あと、新聞もいい加減ですね。
公的な機関の発信する情報難しい
さすがに、厚生労働省や日本年金機構などの公的なサイトでは、正しいことが書かれています。ただ、こういった情報にも、かなり問題が有るようです。
説明に専門用語が入りすぎていて、普通の人は理解が出来ないのです。既に分かっている人が、確認用に使うくらいしか使いみちがありません。
一般の人向けに作られているようなサイトでも、なかなか理解することはできません。
適切な情報が少ないのはなぜだろう
そもそも、何で年金の情報は間違いが多いのでしょうか。
これは、とても簡単に説明できます。現在の日本の年金制度が複雑すぎるからです。
複雑なので、ちょっと勉強したくらいの人だと、間違ってしまうのです。FPなどの年金をちょっとかじった程度の人だと、全く理解できていなかったりするわけです。
また、ちゃんと勉強した人は、年金制度が複雑なことを知っています。こういう人たちが、誤解を招かないような表現を選ぶと、素人には理解できないような難解なものになってしまうわけです。
そして、正確な情報を、知識のない人にもわかりやすく伝えようとすると、今度はとんでもない量の文章になってしまいます。これはこれで、利用価値が無いでしょう。
自分でも書いていて不安になります
率直に言って、私自身も、なにか間違った事を書いているのでは無いかと不安に思う部分はあります。でも、年金自体は重要なことなので触れないわけにもいきません。
ということで、年金というのは、情報を発信する側にも、情報を受け取る側にも、とても厄介な分野だということが出来ます。もっとシンプルな仕組みに作り直していただきたいものです。
個人事業主が亡くなった時の遺族厚生年金
抽象的な話ばかりでもなんですので、一つ具体的な例を挙げてみましょう。個人事業主が亡くなった時の、遺族年金の話です。
多くのサイトでは、「個人事業主が亡くなった場合は、遺族基礎年金は受給できるが遺族厚生年金は受給できない」というふうに説明されています。ただ、この説明は、ちょっと問題が有ると言わざるを得ません。
遺族基礎年金というのは、国民年金の遺族年金です。国民年金は日本に住む全ての人が入っているという建前ですから、遺族基礎年金を遺族が受給できるという部分は良いでしょう。
遺族の側に細かい条件が付くので、単純に「受給できる」と言ってしまうのは、ちょっと微妙なところもありますけどね。大枠としては問題ありません。
問題になるのは、遺族厚生年金の方です。遺族厚生年金というのは、その名前からわかるように、厚生年金の遺族年金ですね。
長期要件に該当すれば遺族年金は受給できる
個人事業主は、過去に会社員だったとしても、現在は会社を辞めている事が多いでしょう。ですから、遺族厚生年金はもらえないと書いているのだと思われます。
しかし、実は、これが正しくないのです。過去に少しでも厚生年金に入っていた場合、遺族厚生年金がもらえるケースが有るのです(遺族厚生年金の長期要件)。
亡くなる直前には個人事業主だった人でも、それ以前に会社員をしていたという人は多いでしょう。会社を辞めて個人事業主になったというパターンですね。
そういう人の多くは、遺族厚生年金をもらえるわけです。
そうであれば、「個人事業主が亡くなった場合は、遺族厚生年金は払われない」というような書き方は、流石に問題でしょう。ものすごく控えめに言っても、誤解を招く恐れが有る避けたほうが良い表現です。
専門家のような肩書を持った人が間違っている
ただ、「個人事業主が亡くなった場合は、遺族厚生年金は払われない」というような解説をしているのが、何となく専門家っぽい肩書を持っている人だったりします。
例えば、FP1級の有資格者なんていうパターンが多いですね。まあ、FPの有資格者は、金融系でも間違った知識を披露する事が多いですが。
率直に言って、FPというのは何でも屋なので、それぞれの分野の理解は浅いことが多いです。でも、一応国家資格ですし、何となく信頼できると思ってしまう人も多いでしょう。
内実を知っている人なら、FPの出してくる年金情報は、自分で裏を取る必要が有ると思うはずです。もちろん、FPにも、ちゃんとした人もいるんですよ。
しかし、そうでもない人も多いことを知っているのです。というか、全ての分野に精通することは不可能なので、苦手な分野は素人よりちょっとマシ程度の知識しかありません。
ただ、普通は、そんなことは知りませんよね。FP1級という肩書があると、何となく専門家だと思えてしまうはずです。それが落とし穴なのです。
日本年金機構の説明は難しい
それでは、公的な期間ではどんなふうに説明されているのでしょうか。
個人事業主が亡くなった時の遺族厚生年金に関して、日本年金機構のサイトではどのように説明されているのでしょうか。確認してみましょう。
色々と探してみましたが、個人事業主に限定したような説明はありませんでした。ただ、遺族厚生年金の支給要件に関して、次のような説明があります。
1. 被保険者が死亡したとき、または被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したとき。(ただし、遺族基礎年金と同様、死亡した者について、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む。)が国民年金加入期間の3分の2以上あること。)
2. 老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき。
3. 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けられる者が死亡したとき。
この2番目の「老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき」が、個人事業主のケースに該当します。でも、予備知識がない人が読んでも、これが個人事業主のケースだとはわからないですよね。
年金制度を知っている人が読んで、やっと理解できるという程度の話です。
ちなみに、老齢厚生年金の受給資格期間とういのは、国民年金の保険料と厚生年金の保険料を払っていた期間の合計という意味です。被保険者が亡くなった時にこの期間が合計で25年ある場合は、遺族厚生年金が支払われるわけです。
この2番目のケースは長期要件と呼ばれるものです。個人事業主でも長期要件は満たす可能性が有るわけですね。
というか、ある程度の会社勤めをした期間があれば、国民年金の保険料を納めた期間と合わせて、長期要件は満たせます。つまり、会社員の経験があれば、普通に満たす条件と言えるでしょう。
日本年金機構の説明は不親切だが致し方ない部分も
まあ、何にしても、日本年金機構のサイトでの説明は、はっきり言って不親切ですよね。分かっている人のための説明という感じしかしません。
でも、これはこれで、致し方ない部分も有るのです。というのも、公的なサイトなので、正確な説明をしないと問題になってしまいますから。
かと言って、正確な説明でわかりやすさも追求しようと思うと、記述する量はかなり膨大になってしまいます。それはそれで実用的ではありませんし、逆に情報が探しにくくなることも考えられます。
年金の正確な情報を得るのは難しい
この件に限らず、公的年金に関しては、正確な情報を得るのは難しい状況です。専門家でも間違う事が有りますから、ちょっと勉強した程度で完全に理解することは出来ないのです。
私たちに出来ることと言えば、基本的な仕組みを理解して置く程度でしょう。細かい部分でわからない事があったら、専門家に質問する方が確実です。
自分で調べて解決しようと思うと、間違った知識が身につく可能性もあります。
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