毎月の社会保険料(健康保険と厚生年金の保険料)は給料の15%だと覚えておこう

会社員が毎月払う社会保険(健康保険と厚生年金)の保険料の概算額は、次の計算式で簡単に求めることが出来ます。

社会保険の保険料 = 毎月の給料の平均 × 15%

この金額は、多くの会社員にとって、所得税や住民税より遥かに大きいものです。私たちが気にすべきなのは、税金以上に社会保険料ということです。

社会保険の保険料の求め方は知っておいて損はない

給料から毎月天引きされる社会保険(健康保険や厚生年金)の保険料。この保険料が小さい金額でないことは、なんとなく分かっている人が多いでしょう。

給料明細をじっくりとチェックする人はそれほど多くないのかもしれません。でも、ちらっと確認するくらいの事は誰しもするでしょうからね。

ただ、社会保険料の具体的な金額まで把握している人は、それほど多くないのではないでしょうか。ましてや、将来給料が変動した時に、この金額がどの程度変化するかについては、まったく分からないという人がほとんどでしょう。

例えば、今30万円の給料をもらっている人が、将来月に40万円とか50万円とか貰うようになるとします。この時、社会保険料はどの程度増えるのかは、意外と重要です。というのも、名目の給料が増えるにしたがって、社会保険料も一緒に増えるからです。

ただ、社会保険の保険料を正確に計算しようと思うと、実はかなり面倒です。でも、おおよその金額を知るだけなら、一瞬で計算することが可能です。

この知識は便利なので、頭に入れておいてもいいと思いますよ。

社会保険の求め方

社会保険の保険料というのは、次のように決めています。

社会保険の保険料 = 標準報酬月額 × 保険料率
= 標準報酬月額 × (健康保険の保険料率 + 厚生年金の保険料率)

ただし、この社会保険料は、従業員負担分だけでなく企業の負担分も含んでいます。ですから、従業員の負担分を知るためには、ここから従業員負担分を求める必要があります。

会社の健康保険が協会けんぽで、会社が厚生年金基金に入っていない場合、上の計算式を2で割ると従業員負担分が出てきます。協会けんぽや厚生年金では、従業員と会社が、1対1で負担するというルールだからです。

この他に、介護保険などもありますが、ここでは無視しました。金額も小さいですし。

正確に知ろうと思うと複雑

この計算式だけを見ると、そんなに難しく無さそうですよね。ただ、細かいルールが色々あって、正確な数字の算出をするにはかなり知識が必要なのです。

まず面倒なのが、標準報酬月額です。

一般的には、4月から6月の3か月の報酬(給料+一部の手当て)から、標準報酬月額という金額を決めていきます。ここで言う給料というのは、手取りではなく諸々を差し引く前の給料です。

手当の種類によって、報酬月額に含めるものと含めないものがあり、これを決めるのも専門的な知識が必要です。また、報酬月額に、賞与を含める場合もあります。

もう一つ難しいのが保険料率です。

特に面倒なのが、健康保険です。健康保険組合によっても保険料率は違いますし、協会けんぽでも都道府県で保険料率が微妙に違うのです。

さらに、健康保険組合に関しては、従業員と企業の負担割合が1対1でないケースも多いです。福利厚生の一環として、従業員負担を小さくしている組合もあるのです。

つまり、自分の組合の保険料率や負担割合まで把握しておかないと、従業員が負担する正確な保険料が計算できないわけです。

おおよその数字は簡単に計算できる

もっとも、私たちとしては、正確な数字を知る必要はありません。おおよその数字が計算できればこと足りるという事が多いからです。

大体の数字を計算するだけでしたら、次のように計算してください。

社会保険の保険料 = 給料 × 15%

これを書いている時点の健康保険の保険料率は、例えば東京都だと9.9%です。従業員負担分はこの半分だから、4.95%ということですね。

次に厚生年金の保険料ですが、平成29年からは18.3%で固定されることになっています(いつまで続くかはわかりませんが)。ということは、従業員負担分は9.15%です。

この2つを合わせると、14.1%となります。これに標準報酬月額をかけると、東京都で働く協会けんぽの人の保険料1 が求められます。

標準報酬月額は、一般には、月々の給料よりも大きいと考えられます。というのも、給与として支払われた部分だけでなく、通勤手当など一部の手当も報酬に含むからです。

ということで、この点を考慮すると、上に書いたように「給料 × 15%」でいいのではないかと思われます。ちょっと保険料率を高めに取るわけですね。

これで計算すると、月給が20万円の人なら3万円、月給が30万円の人なら4万5000円、月給が40万円の人なら6万円という形で計算が出来ます。まあ、だいたい、この程度だと理解しておけばいいでしょう。

補足:給料が大きい人はこの計算式は使えない

ちなみに、給料が大きい人は、この計算式はつかえません。というのも、標準報酬月額の等級には上限があり、それを超えるような給料をもらっている人は、上限金額で計算されるからです。

ちなみに、これを書いている時点では、厚生年金の標準報酬月額の上限は62万円、健康保険の上限は139万円です。

ということで、月に62万円を超えるようなケースだと、上の式は意味がなくなってしまいます。

標準報酬には、一般的には、賞与は含まれません。ですから、年収で考えると1,000万円を超えるような人だと意味がなくなってきそうですね。

社会保険の保険料負担はかなり重い

それにしても、給料の15%も取られるとなると、社会保険の負担はかなり重いと考えて良さそうです。多くの人にとっては、所得税や住民税よりも重い負担という事が多いでしょう。

というのも、所得税や住民税は各種の控除を差し引いた上で計算されます。給料がそれほど多くない人や、控除が大きい人だと、ほとんど収める必要がないということさえ珍しくありません。

また、iDeCo や生命保険を利用することで、節税をすることも可能です。その節税手段を採用するのが得かどうかは、かなり慎重に検討しないといけませんが。

これに対して社会保険は、控除前の給料から計算されます。月の給料が20万円の人なら、20万円をもとに計算されます。いろいろ控除があって、半分の金額で計算したりはしないのです。

20万円のうちの3万円ってかなり大きい

特に年収が小さい人にとっては、この15%は、かなり重い負担ですよね。

月収が20万円の人だと、3万円の社会保険料がかかります。このくらいの稼ぎの人にとっては、3万円の保険料は死活問題でしょう。

そう考えると、少子高齢化で年金の財政が厳しくなるからといって、これ以上の保険料率のアップは難しそうです。やっぱり給付を減らすことで調整していくしか無さそうですね。


  1. より厳密に書くと、厚生年金基金に入っていない場合。 []

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