かんぽ生命の不適切契約が問題になっています。具体的にどんなことが行われていたのでしょうか。確認してみましょう。
問題の概要
かんぽ生命の不適切契約が問題になっています。具体的にどんな問題かというと、次のようなものです。時事通信の記事から、引用してみましょう。1
かんぽ生命は6月、19年3月までの5年間で顧客が保険の乗り換えで不利益を被った事例が2万3900件に上ると発表。健康上の理由で新たな契約が結べずに無保険となったケースなどが続出した。
どうやら、保険の乗り換えにより不利益を得た顧客が多数いるということのようです。
「保険の乗り換え」というと、なにか有利な契約への変更だという響きがあります。でも実際にはそうではありません。多くの場合、乗り換えることによって損をすることも珍しくないのです。
乗り換えというのは、要するに、一旦解約して新しい保険に入り直すことです。途中で解約するわけですから、その部分のペナルティが発生します。ということは、そのペナルティの分だけ損をすることが有るわけです。
保険の勧誘員との契約の問題か
このような乗り換えを積極的に顧客に勧める理由は何なのでしょうか。これに関しても時事通信の同じ記事に説明がありました。
相次ぐ不適切販売の背景には、低金利の長期化で、国債中心の運用が行き詰まり、保険販売による手数料収入の確保を迫られていることがある。郵便収益が低迷する中、日本郵便にとってもかんぽ生命からの販売手数料などが大きな収入源となっており、郵便局の現場での無理な営業につながったとみられる。
前半の国債云々の話はよくわかりません。さり気なく、政権批判でもしたいのでしょうか。
生命保険の運用は、日本国債に限る必要はありません。例えば、金利が低い時期には株式で運用すると儲かる可能性が大きいのです。(実際、第2次安倍内閣発足後は儲けられたでしょう。)
また、生命保険の運用のために金融政策が影響を受けるなんて、そもそもおかしな話ですからね。
さらにいうと、保険を乗り換えても、保険会社にとっては必ずしも有利というわけではありません。有利なこともあれば、不利なこともあります。
保険の乗り換えが有利にはたらくのは、むしろ、保険の販売会社でしょう。どうしてかというと、保険の乗り換えは販売手数料として売上になるからです。
これが、記事にある2番めの理由ですね。こっちの理由の方がメインであると考えるのが自然でしょうね。
また、保険の乗り換えは、現場で保険を売る人にもメリットがあるようです。営業成績として認められるので、収入にもつながるようですね。
ですから、保険の営業は、顧客に不利と知りつつ乗り換えを勧めるというわけです。
悪質な保険の乗り換えはかんぽ生命だけの話?
でも、ここでちょっと疑問が。こんなふうに保険の乗り換えをすすめているのは、かんぽ生命に限った話なのでしょうか。
実は、この手の保険の乗り換えは、民間の保険会社でも問題になっていました。金利が高い時期の契約を解約させ、低い金利の契約に乗り換えさせようという動きがあったのです。
もちろん、保険の営業や代理店にとっても、乗り換えは営業成績としてプラスになります。ですから、彼らも積極的に乗り換えを勧めていたようです。
もう、十年くらい前の話でしょうかねえ。
ですから、今回のかんぽ生命の話を聞いても、特に驚きはありませんでした。他がやっていることを、かんぽ生命もやっているという印象しか無かったのです。
まあ、「いまだにこんな事やっているのか」という感じはしましたけどね。
保険料の二重徴収問題も
かんぽ生命の問題はこれだけではありません。実は、2万件を超える保険料の二重徴収が行われていたようです。
さらに、これらとは別に顧客が半年以上にわたり新旧契約の保険料を二重に支払っていた事例が約2万2000件あることも判明。新契約の締結から6カ月以内に解約すると乗り換えと見なされ、営業手当が新規に比べて半減するのを避けるため、郵便局員が手当欲しさに解約を先延ばししていたようだ。民間の生命保険会社幹部は「手当の仕組みに問題がある」と指摘。かんぽ生命も見直す方針だ。
これに関しては、ずさんとしか言いようがありません。
まず、手当のために虚偽申告をしていたわけですから、詐欺の疑いもありそうですね。まあ、警察沙汰にするのかどうかは知りませんが。
そして、短期間に複数の新規契約があったばあい、それをチェックするようなシステムは無かったのでしょうか。システム的にチェックできそうな気がするんですけどね。
かなりずさんなシステムという印象です。
更に悪質なケースも
今回の件とは直接関係が無いようですが、さらなる悪質な営業手法もニュースになっていました。引用してみましょう。
女性は軽度の認知症を患い、小学校時代から引きこもりがちだった長男(42)と2人暮らし。親族男性が女性宅を探すと、保険証書が次々と見つかった。2017年5月に一度に5件、その後も契約を繰り返し、1年間で11件の保険に加入させられていた。うち5件は、ほとんど同じ内容の終身保険だった。 女性の収入は年金など月約13万円。保険によって死亡や入院時の保障が受けられるとはいえ、月額保険料は支払い能力を大幅に超える25万円以上に上っていた。2
認知症の女性に、月収の倍近い保険料の保険を契約させたということです。あるいみ、契約が取りやすい顧客だったというわけですね。
これは、被害者側の一方的な言い分ですから、実際にはどうなのか判断つきかねる部分はあります。ただ、この主張が本当なら、かなり酷い話ですね。
でも、実は、私個人としてはそれほど驚きはありませんでした。実は、この手の事件は、かんぽ生命に限った話ではないのです。
具体名は挙げませんが、某証券会社の営業が、認知症の老人に投資信託を売りつけたという話をしっています。しかも、営業成績のために、契約した投資信託を短期で解約させては、別の投資信託に乗り換えさせていたのだとか。
これって、かんぽ生命がやっていることにそっくりですよね。金融機関なんて、どこもそんなものなのです。氷山の一角が表に出ただけだと思ったほうがいいでしょう。
- かんぽ生命、不適切販売が横行=顧客軽視浮き彫り-金融庁は処分検討
2019年07月10日12時06分 [↩] - 認知症女性、かんぽに月25万円 収入13万円、貯金底つく…「これは犯罪だ」次男怒り 2019/7/26(金) 12:08配信 西日本新聞 [↩]
スポンサードリンク
専門家の意見を聞いてみよう!
生命保険や医療保険についてプロの意見を聞いてみませんか?保険マンモスなら、生命保険の無料相談が出来ます。
保険のプロが複数の保険会社の商品の中からベストの商品を紹介してもらえます。初めての保険選びと言う人も、保険の見直しと言う人も、試してみてください。

スポンサードリンク