就業不能保険は必要なのか?| 契約前に必要性を再検討してみましょう

最近、就業不能保険という保険が注目されているようです。この保険はどんな保険なのでしょうか。そして、契約するに値するような、価値のある保険なのでしょうか。

就業不能保険が注目されている?

最近、就業不能保険という保険が注目されているようです。例えば、ビジネスジャーナルという媒体で、「病気療養中の収入減を補う『就業不能保険』、注目度高まる…加入時の要注意点」という記事が掲載されていました。

就業不能保険とは

就業不能保険というのはどんな保険でしょうか。

簡単に言うと、病気やケガで長期間働けない時に、働けない期間に応じた給付金が受け取れる保険だと考えておけばいいでしょう。働けない期間が長ければ、たくさんの給付があるわけです。

これが、働けない期間の収入を確保することにつながるわけですね。自分で準備する、休業補償というイメージでしょうか。

ちなみに、似たような保険に、損害保険会社の所得補償保険とうい保険もあります。

注目されているというより保険会社が注目させたい

もっとも、注目されているという言い方は、ちょっと違うのかもしれません。生命保険会社が売りたがっていると言ったほうが正確な気がします。

というのも、この保険を知っている人は、かなり保険に詳しい人だと思われるからです。普通の人は、新しい保険の仕組みなどに、わざわざ関心は持ちませんよね。

そもそも、生命保険というのがどんなものであるかを、ある程度正確に知っている人の方が少数でしょう。であるとすると、こんなマニアックな保険が、一般の人に注目されるはずが無いわけです。

となると、就業不能保険を売りたい保険会社が、注目させたいというのが正確な気がするのです。少なくとも、そう考えるほうが自然でしょう。

記事の要約はこんな感じ

ちなみに、「病気療養中の収入減を補う『就業不能保険』、注目度高まる…加入時の要注意点」という記事を要約すると、次のような感じになります。

ガンなどの病気になると、長期の療養が必要になる。その療養期間中に働けないとなると、収入が減ってしまう。

入院期間中であれば、民間の医療保険に入っていれば、医療保険から給付がある。その給付で、生活費を確保することができる。

しかし、最近は、入院日数が短くなる傾向がある。つまり、退院してから仕事復帰するまでの日数が増えるということである。

この期間に関しては、基本的に医療保険の給付は無い。そこで、就業不能保険の検討が必要になる。

大体こんな感じの内容でした。正確に何が書かれていたかは、記事をチェックしてみてください。

大事な部分が(意図的に?)抜け落ちている

多少なりとも勉強している立場から言わせていただくと、この記事には大事な部分が欠けています。健康保険の傷病手当金の事が全く触れられていないのです。

健康保険などに入っている会社員であれば、病気で働けない期間には、傷病手当金というお金がもらえます。その金額は、おおよそ働いていた時期の収入の3分の2程度(高額所得者の場合は、この限りではありません)です。

つまり、特に借金などがない家庭であれば、この傷病手当金で生活できる可能性もあるわけです。ちょっと暮らしを切り詰めるとか、ちょっと貯金を取り崩すくらいで対応できるでしょう。

それにも関わらず、この大事な要素が抜け落ちていました。問題を考える際の、必要な情報が示されていないわけですね。

ちなみに、記事を書いたのは、保険を専門にするであろうFPです。その専門家が、こんな大事なことを見逃すはずが無いと思うのですが。

誰かの意向が働いているのかもね

あくまで憶測ですが、誰かの意向が働いているのではないかと疑いたくなります。重要な事項が露骨に抜け落ちていると、恣意的なものを感じないわけにはいきません。

給料の3分の2というのは、かなり大きな金額ですからね。それが有るか無いかで、保険に入るかどうかの判断が違ってくるはずです。その情報が無いとねえ。

もっと言ってしまうと、この保険が要らない人だってかなりいるはずです。例えば、月の給料が100万円を超える人なら、こんな保険に入る必要は無いでしょう。

となると、保険を売る側の人からしてみると、この情報は絶対に隠したいはずですよね。働けない期間の収入に不安があると思ってもらった方が、契約に繋がりやすいはずですから。

嘘をついたわけではないので、騙したという批判を受けることも無いでしょう。それに、知ろうと思えば、誰でも知れる情報ですし。いくらでも言い訳はできるわけです。

記事を書いたFPがどういうスタンスで仕事をしている人かはわかりません。でも、FPを名乗りながら、実際には保険の代理店が本業だという人も珍しくないのです。

そういう可能性があるとなると、やっぱり、穿った見方をしたくなりますよね。本当に、うっかり抜けただけなのかな。

医療保険系の商品はかなり割高

もう一つ重要な情報があります。医療保険などのこの手の保険は、かなり手数料が高いのです。

ざっくり言って、保険料の半分くらいが手数料だと思ってください。保険会社によっても違いますし、年令や性別によっても差はあります。

いずれにしても、医療保険に入るくらいなら、保険料と同額を貯金したほうが有利なケースが多いのです。個人的に色々と計算した事がありますが、支払った保険料以上の給付を受け取れる可能性は、かなり小さいという結論でした。

必要性も小さい

もちろん、それでも必要であるのなら、多少割高でも保険に入らないといけません。例えば、夫の死亡に備える生命保険は、子供がいる場合は入っておくべきです。

掛け捨ての死亡保険(定期保険)は、医療保険と同様、かなり割高です。でも入っておいたほうが良いのです。

でも、この保険に関しては、必要性にも疑問があります。上に書いたように、会社員であれば、傷病手当金が使えるからです。

そもそも、健康保険や国民健康保険といった日本の公的な医療保険は、実はかなり充実しています。公的な保険が充実しているから、その上乗せである民間の保険を頼る必要性は小さいのです。

このことは理解しておくべきでしょう。

慎重に検討したいものです

健康に関する問題には敏感な人が多いので、この手の保険は、必要性を考えずに契約する人も少なくないようです。不安を煽ると、契約しないのはとんでもなく大きなリスクと思ってしまうようです。

その気持は分からないではありません。

でも、本当に必要な保険かどうかは、十分に吟味することをお勧めします。とりあえず、健康保険から傷病手当金という給付があることを知った上で検討するようにしてください。

それでも必要であるというのであれば、契約を検討しても良いでしょう。でも、不安にされるようなセールストークを聞かされて、その勢いで契約するようなことは絶対に避けましょう。

月々の保険料はそれほど大きくなくても、何年とか何十年とか保険料を払い続ければ、その金額は膨大になります。その勝ちがあるかどうかを見極めた上で、契約書にサインをしましょう。

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